それから二人が談笑しながら歩いていると、妖怪の集団が二人の
小学生ぐらいの子供を襲っているところに突き当たった。
「妖怪!」
たちまち二人は喋るのをやめて、あっという間に黒と暗緑色の忍び装束に
早変わりした。
ジライヤは忍刀を抜き、丸木橋からひらりと下の川岸へ飛び降りた。
そして、忍刀を振り上げて真っ先に目に付いたドロドロ目掛けて切りかかっていた。
ドロドロ達も湾曲した刀を振り上げて乱れかかっていくが、
ジライヤの素早い刀さばきや蹴りで川に突き落とされてしまう。
いつの間にか、忍刀を逆手に構えたも木陰から走り出て
ばさりばさりとドロドロ達を斬っていた。
とジライヤは、隙を見て棒手裏剣と車手裏剣を投げつけた。
左肩に手裏剣が突き刺さった化け犬の妖怪と一つ目の妖怪は怯み、
二人は泣きじゃくる少年のもとへ駆け寄った。
人質を取られた妖怪は激怒し、最下級妖怪ともども体勢を立て直して
向かってきたが、地面に無数にまかれたまきびしを踏みつけて
混乱に陥った。
「ジライヤ、!」
二人の目の前に飛び出してきた黒装束の男。
「久しぶりだな二人共。手を貸すぜ!」
黒装束に赤い首巻を巻いたサスケはにやりと笑った。
「サスケ、来てくれたの!?」
「Thank You!!」
とジライヤが礼を言った時、彼らの周りが爆発した。
妖怪達は悔し紛れに妖術で子供たちを取り返し、三人を煙に巻いて逃げてしまった。
今、三人は子供を連れて逃げた妖怪集団を追っていた。
山手の牧場の囲いをひらりと飛び越えると三人は中に潜入した。
ウェスタン風のカントリーハウスが立ち並ぶ施設内を三人は抜き足差し足で進んだ。
ドアを乱暴に開けて突入したサスケは「子供たちを返してもらうぜ」と
不適な笑みを浮かべて戦闘衣に変化した。
ジライヤも変化しようと印籠に手をかけたが、次の瞬間、横から何者かに蹴りを入れられてしまった。
「うわあっ!!」
顔面に蹴りを入れられたジライヤは吹っ飛んでいき、わずかに後ろに立っていたにぶつかって倒れた。
「痛っ・・」
床に仰向けに倒れたは後頭部を押さえて起き上がろうとした。
「ガリセンセイッ!!」
ジライヤは素早く跳ね起きて叫んだが、黒い空手着を着た大柄な男は無言で
足を高く掲げて何度も蹴りを入れてくる。
回し蹴りがジライヤの頬を直撃し、彼はその反動で柱にぶつかった。
男はなおも膝蹴りや回し蹴りを繰り出し、彼に反撃の余地を与えない。
男の風を切るような連続パンチにジライヤがひっくり返った時、この場を何とかしたかった
は起き上がりざまに二枚の鉄扇を投げつけた。
「うっ!」
大柄な男は、暗緑色の鉄扇が自らの額を狙って飛んできたので、何とか片手で防ぎ、
すごい目でを睨みつけてきた。
「サスケ〜、サスケ〜!!」
本能的にやばいと感じたは、ここぞとばかりに大声を張り上げた。
「、ジライヤ!!」
嫌でもそれに気づいた彼は忍刀を振り上げながら大急ぎで
ドロドロを片付けて近づいてきた。
「センセイッ!!」
「センセイッ、なぜ・・」
ジライヤは後ろ足を引いて、武道の構えを取った大柄な男目掛けて
信じられない面持ちで叫び続けた。
サスケとが滝の流れるつり橋まで少年たちを送っていった頃、ジライヤは難しい顔で
腕組みをしてたたずんでいた。
「どういうことなんだ、ジライヤ?」
「あの男はいったい誰なの?」
少年達を送り出して戻ってきたサスケ、は彼に尋ねてみた。
「あれは間違いなくガリセンセイだ」
「ガリ先生?」
「僕がアメリカにいた頃、武道を教えてくれた人なんだ」
ジライヤは複雑な心境で呟いた。