「そっか。それであの時、どうりであの男の拳法の型がジライヤに似てると思ったんだ・・」

、気づいてたのか・・」

ロサンゼルス在住時代、父が妖怪に殺されたこと、その後、父の友人であったガリに引き取られ、武術を教わったことなどを

ぽつりぽつりと語りだしたジライヤの告白にとサスケは聞き入っていた。


「でも、まさかさっき攻撃してきたのが、その・・あなたのお師匠さんだったとは・・」

彼の全てを知ってしまうとは悲痛な面持ちで呟いた。

「それでも、今の僕があるのは全てガリセンセイのおかげなんだ」

ジライヤはともすれば震えがちな声で言った。

「そんな大事な先生が妖怪とつるんでたなんてねえだろ?きっと何かの見間違いだって!」

そんな彼にサスケは安心させるような笑みを浮かべ、ポンポンと肩を叩くと励ますように言った。

それでもジライヤは酷く動揺しており、サスケの言葉もそこそこに一人つり橋目掛けて

走っていった。

「おい!どこ行くんだよ、ジライヤ!」

びっくりしたのはサスケの方だ。

まさか、危険を承知でさっきの場所に戻るつもりなのだろうか?

「待てよ、こいつは罠かもしれないんだぞ!!」

サスケが信じられない面持ちで叫んだ時、彼の髪をボーガンの矢がひゅっとかすめて吹き上げていった。

「誰だ!?危ねえな!」

サスケはとっさに近くの茂みに飛び込んで喚いた。

「矢文だわ!」

がおそるおそる隠れていた岩陰から出てきて、岩肌に突き刺さった漆黒のボーガンの矢を引っこ抜いた。

そして、矢の中心部にくくりつけられていた手紙に目を通し始めた。





忍びの巻のことが知りたければ先ほどのカントリーハウスへ来い。

ジライヤもあの男のことでそこへ向かっているはずだ。


薄いオニオンスキンの便箋には女の筆跡で簡単に書いてあった。

「私、行くわ」

はその手紙をポケットにねじこんで立ち上がった。

「な、お前まで・・こいつは完全な罠に決まってるだろ!!、おいっ、戻って来い!!」

サスケはもう何が何だか分からない状況で声を荒げて叫んだ。

「サスケ!」

「三太夫・・」

気配もなく数メートル離れた岩のてっぺんに姿を現した遊び人風の男に彼は驚いた。

「黙って行かすんよサスケ。たぶん、これがジライヤとに与えられた試練やけん」

三太夫はにこにこと人のよさそうな笑みを浮かべて言うだけだった。

「試練?」

サスケの顔つきが明らかに変わった。

「お前たちはそれぞれ試練を乗り越えて忍びの巻を手に入れた。ジライヤとも同じなんよ」

「二人が歩いている道の向こうの山に求めるものはあるけんね」


「ジライヤ、Wait, Wait!」

、どうしてオッテキタ?」

「こんなものが・・」

つり橋のたもとでが必死に走ってくるのが見えたので、彼は慌てて立ち止まった。

「確かにこれはワナかもシレナイ」

矢文を読み終えたジライヤの表情がたちまち曇った。

だが、彼はそれでも決然とした顔つきで告げた。

「ソレデモ僕は行く」

「君もナンダネ?」

は黙って頷いた。

例え、目の前に待つものが闇であろうとも飛び込まなければならない。

一筋の光を求めて二人の忍は駆け出していった。



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