ハーマイオニーはここのところずっと機嫌が悪かった。
なんと驚くべきことに、ロンがクラスメイトのラベンダー・ブラウンからの求愛を受け、その気があるかないかわからないうちに流すに流され、
気がづいたら付き合っていたことが原因らしい。
ジニーとディーンの熱烈的キスシーンがさめやらぬ興奮のまま、とハーマイオニーは
何度も、談話室で二人が肘掛け椅子で絡まりあっている現場に遭遇した。
そんな時、はよからぬことと顔をしかめ、ハーマイオニーは傲然と
二人がまるでそこにいなかったかのように振舞った。
「私の見たところ、ロンはラベンダーに気があるように見えないわ。彼がほんとう
に好きなのはあなたよ」
今日はクリスマスイヴだ。、はスラグホーンのパーティに招待されたので、部屋でハーマイオニーに手伝ってもらいながら
念入りに支度していた。
「どうでもいいじゃないそんなこと。ロンが誰と付き合って何をしようと私には関係ないことだわ」
「あちっ!」
「ゴメンなさい!大丈夫?」
の髪に杖を振って、電気パーマ(形状記憶パーマ)をかけていたーマイオニーは動揺して手元が狂い、
一発、強い電撃を加えて彼女の髪を焦がしてしまった。
「大丈夫、大丈夫よ。髪がちょっと焦げただけだし。こんなのすぐに戻せるわ」
は自分の杖を素早く振って、焦げてチリチリになった部分を元の美しいストレートヘアに戻した。
「ツインスターの首飾りはした方がいい?」
はエメラルドグリーンのタフタのドレスの皺を丁寧に伸ばしながら聞いた。
ハーマイオニーはしばらく考えてから、ナイトテーブルに置かれたちっちゃな金鎖をしたほうがいいと結論をだした。
「こんばんは。ハリー」
「やぁ、。そのエメラルドグリーンのドレス、よく似合ってるよ」
「ありがとう」
その晩、八時にハリーとが玄関ホールで落ち合うと、尋常ではない数の女の子が
たむろしていて二人が親しそうに言葉を交わすのを恨みがましく見つめていた。
二人が大階段を昇って、スラグホーンの私室に足を一歩踏み入れると、そこはあふれかえる客で活気に満ちていた。
「こんばんは。ようこそハリー、」
すぐさま部屋の中央からスラグホーン教授が近づいてきて、二人を歓迎した。
「二人お揃いで来てくれるとはとても嬉しい!、おや、髪型を変えたか?
いやいや、いつもストレートヘアの君を見慣れてるんでね。そのドレスも君の目や髪を引き立てていてとてもよろしい!
そうだ、今日は私の教え子が来てるんだ。紹介しよう」
そう嬉しそうにスラグホーンは片腕を伸ばし、赤毛の婦人を引き寄せた。
「ミラせ、じゃなくって、伯母さん!?」
「はい、こんばんは。、それにハリー君。」
その婦人―フェリシティー・は、ローカットのベルベットのペールブルーのドレスに、赤すぎるほど赤いポンバドールに結い上げられた
赤毛がとてもよくマッチしていた。
「こんばんは。まさかこんなところでお会いするなんてちょっとびっくりしました」
ハリーは彼女の伯母の手の甲に軽く口付けして言った。
「どうも。ハリー君。スラグホーン教授に今夜のパーティに是非出てくれと誘われてね、参上したのよ。それに激務の合間には息抜きが必要だと感じてね」
伯母はにっこりと笑って説明していた。
彼女は相当背が高く、スリットの隙間から出たすっきりした足はまるでモデルのようだった。
「うん、君は学生時代からちっともかわっとらんぐらい綺麗だな。君が皆に年齢を若く偽っても
誰も疑わんぞ」
スラグホーンの目が賞賛するようにフェリシティーの脚に回されたが、生徒たちの手前、
彼は素早く視線を逸らした。
「スラグホーン先生、お世辞が上手だこと。あら、セブルス」
フェリシティーがテーブルの上のポンチの入ったグラスを皆に回していたところ、
ぬっと脂っこい黒髪が現れた。
ハリー、はごくっと唾を飲み込んだ。
「セブルス、ほら、君と同期のフェリシティーだ。会うのは久しぶりだろう?」
「こんばんは」
彼女は腕を組んだまま、突っ張った挨拶をした。
彼も黙って頭を下げただけだった。
あきらかに両者の冷たい雰囲気に感づいたスラグホーンは巧みに話題をハリーのことに持っていった。