「そのけばけばしい色からいい加減に卒業できんかね?」
スネイプは固い木の椅子に腰掛けたフェリシティー婦人の服装に目を通すなり言った。
今日の彼女は、真紅のビロードのドレスに派手な羽飾りの帽子をかぶり、手にはあざらしの黒いマフをつけていた。
髪は今日はルーピンと同じ鳶色に変え、それをシニョンに結っていた。
「ご親切にどうも。でも、ある人は「とても綺麗だ」と褒めてくれますけどね」
彼女は彼の嫌味を軽く聞き流すと得意げに言った。
「フン、ムーディかスラグホーンだな。あの連中はポッターのファンクラブの次にお前のファンクラブにも
入ることにしたのかね?」
スネイプは苦々しく言い放ち、再び書き物に手をつけ始めた。
「ハリー君はとてもハンサムになったわね・・成長した暁にはジェームズを超える美男になるかも。
あなたはどう思う?ドラコ・マルフォイなんて目じゃないと思わない?」
彼女はここでにんまりと笑い、ふせた睫の下から彼の反応をうかがった。
「次にポッター 一族のことを言ってみたまえ。お前を八つ裂きにしてやるぞ」
スネイプは次の瞬間、いきりたち、フェリシティーの前で脅すように杖を振った。
「どうぞご勝手に。校長先生や私の崇拝者達がさぞかし嘆き悲しむでしょうね」
彼女は最高の脅し文句を付け加えるとぴしゃりと黙らせた。
「ただし、八つ裂きにする前にあなたの可愛らしい生徒のことを聞いていただきたいの。
脱吸血薬の最も強力なものを彼女に渡してやってちょうだい」
「彼女はそんなに具合が悪いのかね?」
スネイプはぴたりと羽ペンをとめ、フェリシティーの顔をまじまじと見つめた。
「脈診の結果、慢性的な貧血が酷くなっています」
「次の人」
はいいかげんにうんざりしていた。
彼女は、ハリーがクィディッチメンバー総入れ替えの選抜を行うのと同時進行で、放送席にマグゴナガル先生と一緒に座って
クィディッチ解説者の選抜を行っていた。
一番初めに来たフレデリック・ロクスリーはセドリック・ディゴリーのいとこで
恋する
を間近に見れた余り、興奮して恐ろしいほど実況の例文を書いた紙を読み間違えた。
そのあとはクィディッチ選抜に破れたロミルダ・ベインとその仲間たちで
はこんな愚かしい連中には出会ったことがないと思うほど酷かった。
ハリーが空を飛んだ、やれ、大声を出した、やれ、ブラッジャーが飛んだなど
実況マイクを片手にギャーギャー騒いだため、流石のも頭に来て怒鳴りつけた。
「真面目にやる気がないんだったら出て行ってちょうだい!はい、次の人」
二時間後、むっつり発作を起こした彼女はぶっきらぼうに告げた。
ハリー、
に冷たくあしらわれたロミルダ・ベインとその仲間たちが候補者を
野次る声が響いてきたが、彼女は傲然と無視した。