ハリーは、ルーピンとフェリシティーと密談が終わるのを辛抱強く待ってスラグホーンパーティの

時、盗み聞きしてしまったスネイプとマルフォイの会話の内容を暴露した。

「その話の様子じゃスネイプは十中八九、黒ね」

フェリシティーはこれで決まりと締めくくった。

「ちょっと、伯母さん・・まだそうだと完全に決まったわけじゃないでしょう?」

一緒に聞いていたはあまりにも突飛な内容に困惑して言った。

「そうですよ。確かに僕はスネイプが嫌いだけど、彼は騎士団の団員だし、ダンブルドアが絶対的な信頼を置いてるんですよ」

ロンもハリーの射るような視線を避けながら、反駁した。

「じゃ、一つ聞くけど君はいったいどっちの味方なんだ?」

ハリーがいささかむっとしながら言った。

「も、もちろん君さ!あいつを僕が毛嫌いしてるの知ってるだろ?」

ロンは慌ててさっきいったことを訂正した。

「だけど、ダンブルドアがさ・・あそこまで信じるんだからさ・・」

「まぁ、ともかく情報提供ありがとう。この件はKCCで独自に調査させて頂くわ」

「あ、リーマスはこの件についてどう思うの?」

フェリシティーの提案でいっせいに皆の視線がルーピンに向けられた。

「そうだね・・私たちは正直言って、この件に関して判断する必要がないんだ。校長が彼を信用している事実だけで
 
 我々にとっては充分なのだ」

「でも、もし、ダンブルドアが間違っていたとすればどうなんです?」

ハリーが噛み付くような口調で言った。

「高名な癒者でも間違いを犯すことはあるでしょう?リーマス」

フェリシティーは静かに付け加えた。

「君達と同じ事を皆言った。何度もね。結局校長の判断を信じるか、信じないか二つに一つなんだ。

 私は信じよう。だからセブルスのことも信じよう」

この言葉で白熱した議論は一旦静まり、皆、押し黙った。

「私は信じませんよ」

フェリシティーは固い表情で言いはなった。

その場をいつも丸く収めてしまうルーピンにいらいらしていたのだ。

「いつか高名な先生方の判断が命取りにならないことを願うわ」

それだけ言うと、彼女は綾織の長いスカートを翻して部屋を出て行った。

「私の一言に銃で何発も打ち返されたみたいだ」

ルーピンは皮肉めいて言った。

、彼女がああ言うのを許してあげてくれ。スパイ活動を長年やっていると疑い深くなって、

 誰も信用出来なくなるんだよ。ムーディ先生と一緒だ。そうでなきゃこの職業は勤まらないんだよ。

 それほど厳しい仕事なんだ。ちょっとした油断が命取りになる。理解してあげてくれ」


ルーピンは彼女が伯母の皮肉たっぷりの発言に唖然としているのを見て、

和らげるように説明してやった。


「分かってます。だけど私も正直言って、スネイプ先生は好きじゃないわ」

はそれに覆いかぶせるように言った。

「でも、ルーピン先生。私は伯母さんには悪いけどスネイプ先生を信じるわ」

その発言にハリーの顔が見事に強張った。

ロンはおろおろとしていた。

「ルーピンはスネイプのことは個人的にどう思うの?」

だが、ハリーは最初のショックが抜けると、体勢を立て直して聞いた。

「好きでも嫌いでもない。ジェームズ、シリウス、エイミー、デニス、セブルスとの間にあれだけ

 激しい感情のもつれがあった以上、決していい友達にはなれないだろう。

 だけど、私は私を人狼の苦しみから助けてくれた人のことは決して忘れない。

 セブルスは毎月、私の為にトリカブト系の脱狼薬を煎じてくれた」

ルーピンはホグワーツでの一番幸せだった一年間を回想しながら言った。

記憶を失う前のや、その友達のハリーと部屋でお茶をしたこと、禁じられた森に

二人で散策しに行ったこと、沢山の生徒に囲まれ授業をしたこと、ホグワーツを去る時に

が別れのキスをしてくれたこと。



いい夢は全て冷めてしまうものなのか?


ルーピンはとハリーの白熱してきたスネイプ論議を、寂しそうに眺めながら思った。


「エイミーのこと、まだ好きなの?」

「いや、もう忘れようと思う」

「私の想いなど彼女が負担に感じるだけだ。もうやすらかに眠らせてあげよう」


数年前、亡きブラド女伯爵と交わした言葉だ。

「いつかいい人に巡り合うと良いわね」

「彼女とそっくりな人にかい?」

「世の中にはね、自分とそっくりな人が三人もいるのだそうよ。私はまだ会ったことはないけど・・」


私を弟のように接してくれた彼女もいなくなってしまった。

自分の愛した人は次々と目の前から去っていく。

唯一側にいる彼女は、一番大切なものを失った。

とても辛くてしょうがない。他の人の側に彼女がいるということが。

彼女じゃなかったのか?自分の側にいるはずの人は?

私が一人で勝手に彼女を訪ねて、満足していただけなのか?

心の中で彼女を何度も呼んでみるが、絶対に気づかないだろう。

くたびれた一日だけが今日も過ぎていく。



どうしたらいいのかわからない。こんなに近くにいるのに。

もうだめなのか?彼女でなくてはだめなのに、何も出来ずに苦しんでいるだけの自分は・・。


ルーピンは回想の小道から、現実に帰ると黙ってソファから立ち上がり、白熱した議論を戦わす二人の目の前を

通り過ぎた。


失われたものは戻らない。

いや、戻って欲しくなくて彼女を側に引き止めているんだ。


ルーピンの心の奥底を見透かしたかのように、ハリーは思った。













 





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