犬夜叉達が墓土から蘇った亡霊退治にいそしんでいる頃、殺生丸一行は

今日も森から森へと奈落の行方を追っていた。

既に殺生丸は奈落に操られた妖怪退治屋の匂いをかぎつけていた。

「ねえ、邪見様。殺生丸様、どうして奈落を追いかけてるの?」

「全くもう・・この娘は何〜も知らんのか・・。

 お前とそこのお前が奈落にかどわかされた一件で殺生丸様はお怒りなのだぞ」

阿吽の手綱を取る邪見は、首をふりふり、獣の背中に乗っている人間の幼女と半妖の小娘を人頭杖で指しながら

教えてやった。

それを聞いたりんの顔は太陽が降り注いだようにぱあっと輝き、邪見に「思い上がるな、この馬鹿娘が」

と叱りの手を入れられてしまう始末である。

「え!?そこまでして頂かなくても・・私はずっと迷惑かけっぱなしだし」

だが、もともとさる武家の姫君でマイペースな姫は邪見のことなど眼中に入れておらず、

一人勝手に女らしく頬を染めて喜んでいる有様であった。

「な、こら、この半妖め、お前まで勝手に勘違いしよって!!」

「何と厚かましい、全く、お前は立場というものをわきまえぬか!」

「良いか、殺生丸様は誇り高きお方。平静を装ってはおられるが、あれだけ奴に

 こけにされちゃ腹の中はさぞや煮えくり・・」

邪見が人頭杖を振り回して、のぼせ上がった小娘に説教している時だった。

「え、あら?」

邪見は氷のような冷たさを持って振り返った殺生丸のおみ足にぶつかって

止まった。


「余計なことを・・」

次の瞬間、殺生丸の鉄拳が容赦なく緑のしわくちゃ頭に振り下ろされていた。

(ああ・・怖い目・・そんなに私が憎い?)

「大丈夫・・邪見様?」

「大丈夫。だから、この馬鹿はほっといて参りましょうね、りんちゃん」

「はい、お姉さま!」

(たくっ、半妖、半妖ってうるさいのよ。このちっちゃいのが・・)

姫は阿吽から滑り落りると、うつぶせに倒れている邪見の代わりに阿吽の

手綱を取り、りんを乗っけて再び歩み始めた。


しばらく歩いていると森の奥に粗末なわらぶき屋根の掘っ立て小屋が見えてきた。

「りんちゃんと邪見はここにいなさい。どうやら生きてる人間と死人がいるみたい」

「ちょっと様子を見てきます。ここを動いちゃだめよ、りんちゃん」

姫はぎゅっと眉根を寄せ、阿吽から飛び降りると、氷の矛片手に歩き出した。

「それに四魂の欠片の気配も。あ、殺生丸様、お待ちを!」

そうこうしているうちに姫の横をもこもこがさっと滑りぬけていった。



「お前みたいな反抗的な嫁はもういらねえ〜四魂の欠片だけ頂いてやる。死ね!」

掘っ立て小屋の中では案の定、亡霊の一人、霧骨の猛毒にやられたかごめ、弥勒、珊瑚、雲母が

絶体絶命のピンチに追いやられていた。

醜男の霧骨は今、かごめの首に手をかけ、絞め殺そうとしているところだった。

「うっ!」

突如、緑色の閃光が上がり、霧骨は背後から殺生丸の毒の爪に貫かれていた。

「えっ、殺生丸・・」

「それにあなたはいつかの・・雪女」

ばたりと倒れた霧骨を尻目に、かごめは不思議そうに呟いた。

毒爪の攻撃の後に、小屋全体に大吹雪が吹き荒れ、猛毒の煙を一瞬にして蹴散らしてしまったからである。

「殺生丸と姫が助けてくれた・・」

大吹雪のおかげで、かごめは薄れゆく意識の中でぼんやりと二人の姿を見分けることが出来た。

「法師様、しっかりなさって下さい!!」

姫は大嫌いな妖怪退治屋の娘と桔梗に瓜二つのかごめをすっ飛ばして、

一番奥の粗末な床板でぐったりとしていた弥勒の肩を揺さぶった。

「おお・・あなたはいつぞやの姫様・・」

「私達を助けに来てくださったのですか?」

猛毒で気を失っていた弥勒は一瞬、瞼を開け、嬉しそうに彼女の手を握ろうとしたが、

それは適わず、だらんと手を落として再び意識を失ってしまった。

「法師様、しっかり!!」

、何をしている?放っておけ・・」

そんな人間を庇う姫の態度を少々苦々しく思った殺生丸は

吐き捨てるように言った。

「でも!この方は猛毒に・・」

「お前には関係なかろう・・そやつは犬夜叉の連れではないのか?」

姫の懇願にも殺生丸は耳を貸す気はなかった。

「そんなことより、犬夜叉はおらんのか?」

「誰だ?てめえらは・・」

腹を毒爪で貫かれた霧骨は、奥で法師を介抱する姫と殺生丸を交互に見比べて

言った。

「お前こそ誰だ?名乗りもせぬのか?」

あきれかえった殺生丸の問いにも答えることなく、恐れをなした霧骨は

猛毒を調合した竹筒をひっつかむと小屋から逃げ出した。



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