殺生丸が闘鬼神を奮い、切れども切れども再生する毒虫の手を
相手にしている間、邪険はりんや姫とともに毒虫の巣を
血眼になって探していた。
「あ、あれだよ邪険様、毒虫の巣」
「おおーっ、でかしたぞりん!ってややーっ!?」
「奴ら、巣に戻って来たのか!」
邪険、姫はぶんぶんうるさい羽音を立てて我が家に
帰ってきた毒虫の集団を見て舌打ちした。
「りん、伏せろ!」
「食らえ、人頭杖!」
邪険は連れの小娘がさっと頭を覆って伏せたのを見計らい、
大量の火炎放射をお見舞いした。
「えーい、しつこい奴らじゃ!!」
「祓っても祓っても出てくるとは、いい度胸ね!」
邪険や姫は苛立ちながら、杖や矛をぶんぶん振り回し、火炎放射や冷気弾を放って
怒り狂う毒虫を防いでいた。
「邪険、・・」
数メートル離れた木立で冷ややかに殺生丸は命じた。
「おわーっ!?」
とっさに、怖気を奮った邪険の衣をひっつかんで地面に這いつくばった姫は、闘鬼神のすさまじい青い光が
幹に密集した巣を直撃するのを感じた。
スズメバチの巣状のような巣はあとかたまりもなく消し飛び、
邪険、りんは起き上がり、殺生丸様におおはしゃぎで手を振って感謝の意を表していた。
「来い、。奈落が残した手がかりを追うぞ」
それから殺生丸は、ようやく顔をあげた姫についてくるように命じた。
「あ、はい・・殺生丸様!」
殺生丸がうさぎのように飛んで駆けていくのを、後からひとっとびで追いかけていく
彼女の背後では、今まさに毒虫に仕返しされ、刺されて苦しんでいる邪険と
おろおろするりんの姿があった。