どんよりとした陰鬱な空気がただよう奈落の城に彼女はいた。

「気がつかれたか、姫殿」

布団の上で真っ先に目に入ったのは、人間の若殿、人見蔭刀の姿をした

奈落だった。


「お前は・・人見の殿・・いや、奈落!」

何もかも忘れて羽根布団から起き上がろうとした姫は、うっと

うめいて胸をおさえてうずくまってしまった。

「おっと・・下手に動くんじゃないよ、傷口が広がるぜ。あんた、犬夜叉の鉄砕牙で心臓すれすれに

 ばっさりと切られたことを忘れたのかい?」

艶やかな紅色と濃紺色の遊女風の着物をまとった女が、彼女を支え、羽根布団へと押し戻した。

「おのれ犬夜叉・・あの化け犬の半妖め!遭難しかけていたところをあれだけ親切にしてあげたのに!!」

姫は丁寧に整えられた真っ白な爪を握り締め、くやしそうにうめいた。

「わしが邪気で奴を目くらまししなければ、姫殿は確実に激昂した半妖に

 殺されていましたな」

奈落は姫のその様子に面白そうに言ってやった。

「そう・・それは礼を言わなければね、危ないところを助けてくれてありがとう」

彼女は素直に頭を下げた。

「神楽・・こやつが動けぬあなた様の世話をしてくれる。何なりと申しつけられるがいい」

それを聞いた奈落はに急に動揺しだし、動作がこころなしかぎこちなくなったようだった。

「あそこにいるのが神無、神楽の姉だ。外界の様子を探りたければ彼女を呼べばいい。

 あの鏡がすべてを映してくれよう」


奈落は何とか平常心を保とうと、障子をへだてた渡り廊下を音もなく歩いている透き通るような髪とのような肌を

持つ幼女のことを話してやった。











「あの女・・わしが姿を借りし城主、蔭刀のことを知っていたか・・」

奈落は渡り廊下を歩きながら、ひたすらさきほど自分の不可解な行動のわけを考えていた。

「どうりでわしがあの女に執着する理由が分かった。生前、蔭刀は妻もめとらず、ある雪女に恋焦がれていたと

 城の者が噂していたな。わしの体の一部である最も唾棄すべき夜盗、鬼蜘蛛が桔梗に執着するようにか・・」

彼は納得したようににやりと薄気味悪い笑いを浮かべ、城の奥へと立ち去っていった。





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