その夜、一般客の姿が完全に消えた大英博物館では邪悪な儀式が行われていた。

こうこうと焚かれる松明。

そこには厳かに呪われた書物を読み上げるハフェズ館長、それをぐるりと取り囲むようにして

ひざまずく黒人達、そして、リック達が葬ったはずのイムホテップのミイラがあった。

今、リック達は機関銃や六連発銃を手に手にこっそりと博物館の保管庫から

入っていった。

雷鳴が轟き、保管庫に立てかけられているガラスケースのミイラの棺が不気味浮かび上がる。

ホールではハフェズ館長が式典用の書物を読み上げているらしい。

再び、雷鳴が轟いた。

リック達はハフェズ館長の声を頼りに奥へ奥へと進んだ。

その時だ。

この世のものとも思われぬ悲鳴が上がり、棺に納められているはずのミイラ達が

次々に起き上がった。

リック達は相当度肝を抜かれたが、下手に刺激しないように銃を突きつけて脅すだけで

先を急いだ。

そして、とうとう彼らは式典用の広間にたどり着いた。

薄暗い広間がぐるりと見渡せる二階の欄干部分に身を潜めながら、

三人はどうすべきか目配せしあった。

そうこうしているうちに儀式は着々と進行し、

石油化したミイラの手がぴくぴくと動くとそこから恨みに満ちた目を光らせて

イムホテップが現れた。


「何事だ?いったい今は何年だ?」

「お待ちしておりました主よ、今年はスコーピオン・キングの年でございます」

「そうか。私にもやっと運が巡ってきた」

状況がよく飲み込めないミイラに、ハフェズ館長はうやうやしく答えた。

そして、そのタイミングを待ってましたとばかりに奥からびっくりするほど胸の

開いたドレスの女性が歩いてきた。

その女性は皮膚がこそげ落ちたイムホテップに臆することなく近づくと

「自分はアナクスナムンの生まれ変わりだ」と告げた。

イムホテップは愛おしそうにミラの波打つ黒髪に触れると

「地下に眠るお前の魂を揺り起こし、再び我々の想いを成就させる」ことを約束した。



「ほらな、数年前はあいつらを見たらびびってた」

儀式が一段落したのを見計らって、リックは皮肉っぽく呟いた。

「生まれ変わり?あの女が・・」

は信じられない面持ちで長い黒髪を垂らしたドレスの女性を見つめていた。

事態が急転したのはそれからだった。

館長がオコンネル夫妻の屋敷から盗んだ銅製の箱をこじ開けたまではよかったのだが、

そこにはお目当ての黄金の腕輪はなく、

代わりに野球選手のブロンズ像が詰め込まれているだけだったのだ。


「あなたに贈り物があるの」

「あの女が地獄の猛火で焼かれる様を楽しんで」


こちらはこちらで非常にまずい状況になっていた。

ミラはイムホテップに甘い言葉を囁くと、底意地の悪い笑みを浮かべた。


「やめて、放しなさいってば!」

焦ったエヴリンはヒールの高い靴で兵士達をどすどすと蹴飛ばして抵抗した。

「ああ・・どうしましょう!すごく悪い方向に向かってるわ!」

はアーデスの腕をがしっと掴むと呻いた。

「やめて、このっ、ああ・・大変!」

エヴリンはまだむなしく抵抗していたが、迫り来る炎の棺おけに怯えた。

「女、地獄へ落ちろ!」

「何よ、あんたこそ!」

イムホテップの喜ぶ様に胸糞悪くなったエヴリンは言い返した。

「女を放り込め!」

「焼いてしまうのよ!」

イムホテップとミラの嬉しそうな声、「この人でなし!」と罵るエヴリン、

地獄の猛火は彼女の目と鼻の先まで迫っていた。

「あああ〜!」

エヴリンが喉から血が吹き出るかと思うほど叫んだ時、救いが来た。

リックだ。彼は間一髪で燃え盛る炎の棺おけをひとっとびに飛び越え、

エヴリンを縛っていた台の上に着地して彼女を担ぎ上げた。

そして、今度は皆が何が起こったかを理解する間も与えずに、

二階の欄干からアーデスの機関銃が火を噴いた。

アーデスはまず、イムホテップの周りにいる兵士達を狙い撃ちにした。

ミラは悪女の感でいち早く屈んで弾を避け、イムホテップは忌々しげに

メジャイの男を睨みつけた。

一方、こそこそと火薬の入った木箱の影に隠れてずらかろうとしたハフェズ館長は

怒ったの六連発銃の標的にされることになった。

「ミラ、銃を取れ!」

しかし、アフリカ系土人の男が連れの女にケースの中に隠していた

機関銃を放ってよこしたので、は大理石の壁の影に引っ込んで弾を避けていた。

















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