「美朱ちゃん、それに、ここにいたのかい?」

星宿に報告すると言ってきかないをなだめているところに、昴宿がやってきて

夕飯の支度にかかっていることを告げに来た。

「皆に精のつく料理をしてあげないとね」

「う、わっ!もうそんな時間なんですか?美朱、私そんなに長く寝込んでたの?」

昴宿のその言葉に、長い間何も口にしてなかったは、ポンと嬉しそうに両手を叩き、まだ見ぬご馳走に

舌なめずりした。

「西坊(シーファン)、朱雀の巫女さんとも手伝ってくれるんだってさ」

昴宿によって通された厨房には先客がいた。

先客の少女を見た途端、はたちまち眉をひそめ、美朱は予期せぬ出来事にあんぐりと口を開けて

驚いていた。


しばらくすると昴宿が出て行ってしまい、三人は今、湯気の立つお釜の前に立っていた。

「あのう、西坊さんってこちらの娘さんなんですか?」

は不機嫌そうに黙りこくり、西坊とことさら目を合わせないようにしており、

とうとうこの場の気まずい空気を切り抜けようと美朱が口を開いた。

「いいえ、昨年父が死んで引き取って頂いたんです」

さんは、父とも親しかったとか。生前父がよくあなたの話をしてくれましたわ」

「あらそうなの。あいにく私の頭の中には一切記憶にございませぬが」

西坊が親しそうに彼女に話しかけてきたが、は冷ややかに言い返した。

朱雀の巫女が「まあまあ・・」と彼女をなだめてもそれは変わらなかった。

「あのう、鬼宿とは・・」

ここで巫女は勇気を振り絞って、この娘に直接疑問をぶつけてみた。

「あなたは、鬼宿さんとはどういうご関係なんですか?」

だが、娘の方が顔も上げずに先に美朱の疑問を返してきた。

「何としらじらしい方かしら」

は鼻で笑うと、ぎくりと強張った西坊を見つめた。

「彼とは一応、恋人です。ちょっと今、危うくなってるけど」

西坊の問いにまだ答えてなかった朱雀の巫女はお皿をふきながら、ちょっとむくれていた。

「あら?全然そのようには見えませんでしたわ。お二人を見てると何だか兄と妹のようで」

「お言葉ですが、私の知る限り二人はずっと前から仲の良い恋人ですがね」

西坊の勝ち誇ったような言い方に、我慢できなくなったはここぞとばかりに突っ込んだ。

この場の冷たい空気に凍りつく朱雀の巫女。

は突っ立ったまま、西坊を睨みつけているし、西坊は西坊でいささかムッとした顔をしていた。


結局、同じ仲間である白虎七星士の男の娘には、最後まで好感を抱くことはなく

泥棒猫を見るような目で彼女を眺めやるだけだった。


やがて食卓には三人の女達が作った手料理が並んだが、相変わらず空気はよどんだままだった。

(ひゃあ、すごい差・・家庭科の調理自習ちゃんとやっておけばよかった)

西坊が腕によりをかけた美しく彩られた数々の家庭料理を見て嘆く朱雀の巫女に、は「大丈夫、鬼宿君もきっと

気に入ってくれるって」と励ましていた。

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