北甲国首都、特鳥蘭――

朱雀+白虎七星士達は馬を八時間も飛ばしてこの街に到着したのだった。

彼らが市街入り口の大きな門をくぐりぬけた時、粉雪がちらつきだした。


「へぇ〜紅南じゃあんまり降らないのよねぇ〜温暖なとこだから・・」

「綺麗・・」

美しいグレーの若馬の手綱を取る柳宿の、サッシュの腰帯に手を回して寒がっていた

その美しい光景に見惚れてしみじみと呟いた。


「さてと・・こっからどーすっかっだ!」

街で一番初めに目に入った食堂で、鬼宿は北甲国の地図をばさっと広げた。

「ここは街の入り口なのだ。手分けして神座宝を探した方がいいのだ〜」

井宿がにこやかに乾焼竹筍(ザー菜と干し蝦の煮込み)を口に運びながら言った。


「井宿は子供だからおいらがついていくのだ」


「翼宿は危なっかしいから、落ち着いてる軫宿と一緒にいくのだ」


「どーいう意味やねん・・」


「とーぜん俺は美朱だな!」


鬼宿が美朱の食べっぷりに微笑ましそうに眺めながら言った。

「柳宿とは?」

美朱が口に物を一杯ほおばったまま聞いてきた。

「え?うーん・・」

柳宿はふと考え込んだが、右腕にはめていた腕輪がきらりと光ったのに

なにやら因縁を感じたらしい。

「美朱達と一緒がいいわ。星宿様の代わりにあんたを守らなくっちゃねえ!」

「ということは3人、2人、2人の組み合わせか・・じゃ、私も柳宿の方に入れて

 貰おうかな!」


(えっ・・何でそうなるねん)

翼宿は、一人だけ心の中でショックを受けて突っ込んだ。


「おーっ!姉ちゃん!」

「おーおー、べーっぴんじゃねえの・・俺の酒に付き合わないか・・」

「おじさん、料理がまずくなるから席に戻って下さい」

柳宿のあごをくいっと上向かせ、無遠慮に口説く中年男に、

は表情一つ変えずに、かき卵のスープを上品にすすった後、たしなめた。

「いや〜こっちの姉ちゃんもべーっぴんだなあ・・どうだい?おじさんと一杯飲まないかい?」

ほろ酔い気分の酔っ払いを怒らせないように丁寧に言ったつもりだったのだが、

それはかえって、中年男の下心をくすぐっただけだった。


「失礼ねえ・・私たちそんな安っぽい女じゃないわよ」

机一つ叩き壊してから柳宿はあきれかえって呟いた。

「べっぴんやて・・、柳宿は美朱と一緒はやめたほうがええんちゃうか・・」

翼宿がいいように風向きが変わってくるのにほくほくして言った。

「この辺は酔っ払い多そうやし」

翼宿はにんまりとし、に教えてやった。


その証拠に先ほどの机一つと中年男を叩きのめした騒ぎで、周囲には続々と

「おーい、姉ちゃん達、こっちきて一緒に飲まねぇか?」

「そっちの可愛い姉ちゃんだけでもいいぜ」

「腕っ節の強い姉ちゃん、気に入ったぜ〜」

などなど熱狂的コールが響き、柳宿とは困惑した顔で麻姿豆腐をさじですくって食べ始めた。


「だよなぁ・・女二人、こう下心見え見えの顔でいちいち絡まれちゃ先に進めないしな」

鬼宿までもが困った顔で呟いた。


「わーったわよ!女に見えなきゃいいんでしょ」

柳宿はがちゃりとさじを置き、の腰帯から懐剣をかすめとると

ばっさりと肩から下へと垂らしていたお下げ髪を切り落とした。


「わーっ!せっかくの髪がもったいねえ・・」

「柳宿、もういいの?女装できないよっ!」

「どうするの?こんなに切っちゃって・・これじゃどう見ても男・・」


鬼宿、美朱、はあたふたと柳宿の思い切った行動に異議を唱えるばかりだった。


「いいのよ、もう・・」

柳宿の態度は実に男らしいものだった。

「いったじゃないさ、もうオカマは潮時だってね!それにこれから本格的に青龍七星士と

 ぶつかるのになよなよしてらんないじゃない!」





「柳宿・・」


「まあ間違っても、あんたはその髪切らないでね」

柳宿はびしっとそこで彼女に釘を刺した。

「あんたは正真正銘の女なんだからさ。どんな時も女らしくしていて欲しいのよ」


にはその時ほど柳宿が男らしく見えたことはなかった。




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