「え〜〜〜っ!そ、そんな、お前、女やったんかいな!」
「うそやろ〜お、俺それ、知らんとこいつとずっと一緒に寝とったんかいな・・」
柳宿に小部屋に連れてこられたは、慣れない衣装に恥ずかしそうにもじもじしていた。
七星士達ははじめ、あまりの彼女の美しさと変貌ぶりにぽかんと口をあけて、
いっさいのおしゃべりをやめてしまった。
中でも最も驚き、落胆していたのは兄と弟のように旅先で枕を並べて寝ていた
翼宿だった。
「騙すつもりはなかったんです!いつか本当のことを話そうと、
でも、言いそびれてしまって・・身寄りのない私を
美朱さんや星宿様やその他の方々は色々助けてくれて、
その上、こんな豪奢な宮殿にまで住まわせて頂いたのに・・」
彼女は必死に頭を下げて皆を欺いたことを詫びた。
「私がこんな男装をしてるのには、わけがありました。今まで危険と隣り合わせの女一人旅だったため、
それで、敵を欺き、今度は皆さんの足手まといにならないようにするためでした」
「気にすることないのだ。おいら、初めから君が女の子ではないかと思っていたのだ」
真っ先に井宿がいつもつけている仮面をとって、人を和ませるような笑みを浮かべて頷いた。
「それに誰にでも秘密の一つや二つはあるのだ。おいらも例外ではないのだ」
「井宿・・ありがとう」
はほっとして彼の手を取って微笑んだ。
「それにお前はその衣装の方ががずっと自然体で女らしくていいぞ、なぁ、タマ」
軫宿も力強く言ってくれ、足元でじゃれついていた彼の愛猫もゴロゴロと満足そうに喉を鳴らした。
「そうですよ、その方が絶対に可愛いですよ!!」
張宿も、目をキラキラ輝かせて率直に感想を述べた。
「ねえ、翼宿さん、絶対にこのほうがいいですよね?」
「けっ、し、しらんわいっ、だいいち、俺に女の衣装の好みをあれこれ聞くな!
だいいち女は嫌い・・痛ーーーーっ!!」
話題を急に振られた翼宿は急にまっかっかになって、プイッと横を向いてしまった。
「このボケェ〜〜あんたは繊細な女心の一つもわかんないの!?
ちゃんが今までどんな思いで男装して過ごしてきたと思ってんのよ!
皆、可愛いとか似合う〜とかいってるのに・・まあ、私には叶わないけど、
あんたも少しは褒めてやんなさいよっ!!」
すかさずデリカシーのまるでない翼宿の発言に切れた柳宿の鉄拳が宙を飛び、彼を壁に叩きつけた。