「、。今日の夕食はシチューよ」
「早く下りておいで。上手そうな匂いだよ」
階下からギンガムチェックのエプロン姿でシチュー作りに奮闘していたルーピンと
居間で新聞を読んでいたフェリシティー伯母が呼びかけた。
「は〜い」
今やすっかり大人っぽくなったは、すぐさまフェルトのスリッパをはいて
私室から駆けていこうとしたが、運悪くコンコンと窓がなってがっくりと肩を落とした。
「な〜んだ、また君ね・・悪いけどもう夕食の時間でお腹空いてるの」
やれやれと窓を開けてやり、ベーコンの脂身のかけらでも落ちてないかと
きょろきょろと探すカラスには残念そうに言ってのけた。
「そこで待ってて。今日の夕食にお肉が出るからその時にね」
「嘘、なんであいつが?」
カラスが口にくわえていた手紙を受け取って、開封して目を通し始めた時
の胸はさっと冷たくなった。
「あの最低なコウモリ男!!ふざけないでよ!!」
手紙をぐしゃぐしゃに握りつぶすと、彼女は床を踏みしめ罵詈雑言を吐き散らした。
「ごめんね、リーマス、ちょっと出かけてくるわ」
彼女はライトグリーンの匂い玉つきのコートを引っ掛けながら
申し訳なさそうに言った。
「おいおい・・、こんな時にどこに行くんだい?」
たまじゃくしを持ったままのルーピンがすぐに厨房から飛んできて、ちょっと怒ったように言った。
「ル、ルーナが、ルーナ・ラブグッドが近くまでに来てるの」
問い詰められてはとっさに嘘をついた。
「あのね、私達の結婚祝いのプレゼントを渡したいんだって・・ほら、式には参加出来なかったし」
「大丈夫、長話はしないから!向こうもプレゼントだけ渡してすぐ帰るって手紙に書いてきてるし・・」
「じゃあ行ってきます!シチュー本当に美味しそうね、早く帰ってくるわ!」
「本当に誰かと思えばお久しぶりですね・・いったい何の用ですか?」
手紙で指定されたシェーンボーンホテルの壮麗なロビーの一つに
足を踏み入れると、は出来るだけの侮蔑をこめて頭を下げた。
「用がなければ会ってはいけないのかね」
真っ白なソファでコーヒーを飲んでいたスネイプが顔をあげた。
たちまちその顔がほころんだ。
セブルス・スネイプ、どこまでも卑劣で愚かな奴。
の胸は怒りで煮えたぎった。
「よくものこのこと、ロンドンのマグル街に顔を出すことが出来たわね。
あなたって、どこまで人を苦しめればすむの?」
はソファにどさっと腰かけるや否や、冷ややかに言い放った。
「お前の結婚祝いだ。受け取れ」
彼は彼女の侮蔑に満ちた目を避けると、ソファの横に大切に置いていた
ピンクの可愛らしいバラの花束と、ブルーのリボンをかけた細長い箱を差し出した。
「いりません。今度は中に何を仕掛けてるの?爆発物?」
彼女は氷のような声できっぱりと断ろうとした。
「我輩が目をかけていた元生徒にそんな真似をすると思うのか。ポッターなら間違いなくやってやるが・・」
スネイプはフンと鼻で笑って言った。