その夜、フェリシティー伯母は四人をグリモールドプレイスに送り届けた後、

身の安全の為、一緒に眠ってくれた。

ロンとハリーは女の子達が床で眠るのは可愛そうだと思い、

ゴブラン織りのソファの特等席二つをパンパンに綿がつまったクッションや膝掛けで覆って

最上のベッドこしらえてやった。

「皆寝た?」

は先ほどの恐怖で目が冴え渡っており、一人寝付けないでいた。

「いいや、起きてるよ」

彼女の押し殺したような声にハリーも小声で答えてやった。

「どうしたの、眠れないの?」

ハリーは上掛けを引き寄せて彼女の方に顔を近づけて尋ねた。

「うん、体は疲れてるのに何だか興奮しちゃって・・」

も上掛けを引き寄せながら、ペルシャ絨毯のひかれた床に雑魚寝している

彼の方に顔を近づけて囁いた。

「あのね、眠れない時はミナ伯母様がよく子守唄歌ってくれたの」

「今、歌ったげようか?」

「うん、君の歌声ならよく眠れると思うよ」

ハリーは嬉しそうにごそごそと上体を動かしながら囁いた。

はちょっとはにかんだように微笑むと、ハリーの方へ腕を伸ばし、

その額にかかる黒髪をなでさすりながら、ハンガリー語の子守唄を低い声でそっと歌ってやった。

「とてもいいよ・・」

ハリーはシリウス・ブラックがホグワーツに侵入して大広間で皆で雑魚寝した晩も

こんなことがあったなと思いながら、次第に自分の瞼が落ちていくのを感じていた。


翌朝、ハリーは一番に目覚めた。

目をしばたくと、シスチナ礼拝堂のミケランジェロの絵画のようにロンとハーマイオニー、と自分の手が

絡まりあっているのが分かった。

小サロンの黒ビロードのカーテンはひかれており、そこから朝日がさんさんと降り注いでいた。

の伯母の姿はすでになく、マホガニーのテーブルに「朝食を皆でどうぞ」との

ちょっとしたメモが洒落たインクスタンドとともに留められてあった。


一人早く目が覚めたハリーは次いで目が覚めたを伴って、杖に明りを灯して

二階のきしる木の階段を昇っていった。

今は亡きシリウスの部屋は彼が当時、家を飛び出した時のままでごちゃごちゃと散らかっていた。

「見て、お母さんの写真・・」

「よっぽど好きだったんだね・・」

二人はオーク材の机に飾られた古い古い写真立てを見て囁きあった。

そこには若き日のシリウスとエイミーが肩を組んでガッツポーズを

していた。

二人でそうやって探索していると、いつの間にか、ロンとハーマイオニーが起き出してきて

二階へ上がってきた。

「この部屋は?」

「わあ、素敵な部屋ね」

「レギュラス・アークツルス・ブラック」

「もしかして、RABって・・」

ハーマイオニーとロンは幾つか離れたシリウスの弟の部屋に入り込んでいるようだった。

達のところまで二人の声がこだましてきた。



ロンとハーマイオニーの探索は成果があった。

「死に行く私は本物のロケット(分霊箱)を盗みました。出来るだけ早く破壊するつもりです」

厨房のロングテーブルでハリーは、ロンから手渡された、レギュラスの部屋で見つかったくしゃくしゃの羊皮紙を読み上げていた。

「ああ、なるほどね!RABはシリウスの弟のことか!」

「サロルタ・マイラートはジェニファー・アダムズ・ブラックだったようにね」

ロンとが嬉しそうに囁きあった。



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