ハリーはショックを受けて、グリフィンドール寮に戻るところだった。

途中で城門の陰に隠れて、同じ光景を目撃してしまったスネイプと出くわしたが、今、彼はそんなことは気にならなかった。

「ルーピン先生はずっと が好きだったんだ・・だからあんなことを・・」

大理石の階段をすっ飛ばし、彼は肖像画を通過し、男子寮への階段をがむしゃらに駆け上っていった。

彼はファイアボルトを手にしていた。


これから彼は上空を飛び回り、何とも言えない複雑な気持ちを晴らそうと思っていた。

彼は男子寮の扉を乱暴に開けた。

彼はふとひらめき、グリフィンドール塔を出て彼女を探しにいこうと男子寮を飛び出した。

!」

ハリーはちょうど談話室に帰ってきた彼女を見て叫んだ。

「あら、ハリーどうしたの?」

目を真っ赤に泣き腫らした彼女は不思議そうに言った。

「今からファイアボルトで飛ぼうと思ってんだけど、来てよ!君も試し乗りさせてあげるからさ」

ハリーは必死に胸の痛みを押さえながら、彼女を誘った。

「ほんとう?あれに乗っていいの?行くわ!」

は気持ちが滅入っていたので、同意した。


玄関ホールまで出ると、ハリーはファイアボルトにまたがった。

「早く、僕の後ろに乗ってよ」

ハリーはにこやかにどこか黒い笑みを浮かべながら誘った。

「え、でも、二人乗りは危ないんじゃないかな・・・」

は引きつった笑顔を浮かべながら、答えた。

「何言ってるんだい?大丈夫、僕はシーカーだよ。さあ、乗ってよ」

ハリーは今度は先ほどより強引に誘った。

「はいはい・・ハリーには負けました!乗ります、乗ります・・どことなりでも連れて行って下さいませ。」

は彼のいつもとは違う強引な態度に怖くなって、少々茶化しながら箒にまたがり、彼の腰に腕を回した。

「しっかりつかまっててよ!」

ハリーは背中に触れる彼女の体温を肌で感じながら、にんまりと、してやったりとほくそえんだ。

「飛ぶよ!」

ハリーは風を肌にしっかりと感じ、箒の柄を握り締めた。

鋭い悲鳴が二人から上がった。

ファイアボルトはジェット機なみの速さで地面を離れ、地上に急上昇した。

ハリー、 は揃って嬉しい悲鳴を上げた。

ファイアボルトは本当に素晴らしい箒だった。

城内をすごい勢いで、自由自在に飛び回り、急旋回を何度も繰り返すことが出来た。

「ああ、こんなに空を飛ぶのが楽しいと思ったなんて初めてよ!!」

はぐんぐん加速していくファイア・ボルトに興奮し、しっかりとハリーの腰に抱きつき、彼の背中にそっと顔を近づけた。

「そう、それはよかった〜是非君と一緒にこの箒に乗りたかったんだ!!」

ハリーは嬉しそうに大声で叫んだ。

やがて箒は禁じられた森の上をすごい勢いで通過し、大きな湖の上に来た。

「もっと水面に近寄ってみよう!」

ハリーはそういうと、水面すれすれに箒を下げた。

ファイアボルトは水を蹴り、綺麗な水しぶきを上げた。

「ルーピン先生が辞めてしまって残念だ!」

少々気分が良くなってきたハリーは叫んだ。

「スネイプ先生が彼の正体を朝食の席でばらしたそうね?何故、そんなことをしたのかしら?」

はハリーに聞いてみた。

「ああ、そのことだけどルーピン先生が言ってた。あいつは僕達の命をあの晩救ったことで、魔法省から

 マーリン勲章を授与される予定だったんだ。ところが、ダンブルドア先生がルーピン先生が僕達の命を救おうとしていたのだと

 ファッジ大臣を納得させたんだ。それでスネイプはキレたらしい。勲章をもらい損ねたのが痛手だったんだろうな。

 くそっ!アイツは腹いせに今日の朝食の席でばらしたんだよ!」

最後の方は苦々しげにハリーは言い放った。

「スネイプ先生はずいぶん子供じみた振る舞いをしたのね」

は完全に軽蔑を通り越した口調で言った。

「僕はルーピン先生を尊敬してるし、大好きだったんだ・・」

ハリーはびゅんびゅんと半ばヤケクソで箒をぶっ飛ばしながら言った。

「他の生徒だって皆そう思ってるわ。あの金髪以外はね」

はドラコのことを思い出し、苦々しく言った。

「君は?先生のことはどう思ってるんだい?」

城門のとこでルーピンが彼女にキスしていたのを思い出し、ハリーの胸はまたチクリ、チクリと痛み始めた。

「大好き!とても素晴らしい人だわ!!」

はハリーの気持ちも露知らずに、即答でしかも大声で叫んだ。

「そ、そう・・ははは・・大好きかぁ・・」

ハリーは聞かなきゃよかったと後悔していた。

「どうしたの?私何か変なことでも言った?」

ちょっとへこんでいるハリーに気づいて、彼女は不思議そうに言った。

「いや、な〜んでもない、な〜んでもないよ!」

ハリーは無理に明るく笑った。

そして、彼は、さらに落ち込み始めた。

その憂さを晴らすために彼は長い時間彼女を箒に乗せて、城内や森を飛び回ったらしい。






やがて、期末試験の成績が発表された。

、ハーマイオニ―は今年もそれぞれの得意教科でトップを競い合った。

四人は魔法薬学もパスしたのには、ダンブルドアの介添えがあったのに違いないとピンと来た。

あの事件以来、スネイプのハリーに対する態度はひどくなる一方だし、 は(ルーピンを辞めさせたことを

許せず)スネイプに対して今まで以上に険悪な態度を取るようになった。



翌朝、四人はホグワーツ・エクスプレスに揺られていた。


「おい、あれ・・フクロウじゃないか?」

ランチを食べていたロンが窓の外を指差した。

「なんかこっちに向かってくるよ!」

ハリーは窓を開け、そのフクロウを入れてやった。

ちっちゃな梟だった。

ブンブンと梟は嬉しそうにコンパートメントの中を飛び回り、ハリーと の上にポトリと手紙を落とした。

それから梟は の側にやってくると、前足を突き出した。

「何かしら?」

梟の前足に小さな包みが括り付けられている。

彼女は梟を膝の上に置くと前足にくくりつけられていた包みをほどいてやった。

「シリウスからだ!」

向かいの席ではハリーが嬉しい悲鳴を上げ、ロンとともに手紙を覗き込んでいた。

、その包みだれから?」

ハーマイオニ―がカボチャパイを頬張るのをやめて聞いた。

「わからないわ」

「開けてみたら」

「そうね」

は梟をハーマイオニ―の手に渡すと、小さな包みを手に取った。

彼女が包みの紐を解こうとした時、急に小さな包みがポンッと言う音を立てて大きくなった。

「縮小呪文だわ。この小さな梟に運ばせやすいように魔法をかけて何サイズも小さくしたのよ!」

横からハーマイオニ―が解説してきた。

「へ〜そうなんだ。で、こんなことをするのは誰かなと・・」

はガサガサと包装紙を破いていた。

「あらまあ!!」

より先にハーマイオニ―が嬉しい悲鳴をあげた。

「すごい!私一度でいいからこれが着たかったの・・」

は感激して、呆然となってしまった。中身は上品なピンクの絹の中国服で、

ところどころに白いちっちゃな薔薇が刺繍されていた。付属品として中国のエキゾチックな扇があった。

「チャイナドレスじゃないの!やだ!私実際に見るのは初めてだわ!」

ハーマイオニ―は興奮して目を輝かせた。

「誰、誰?こんなのを贈ってきたのは?ちょっとあなた達、見てよこれ!」

ハーマイオニ―が向かいの席で熱心に手紙を読んでいたハリー、ロンに声をかけた。

「なんだい?うわっ!すげぇ!これチャイナドレスじゃないか!」

ロンの目が真ん丸になった。

「ほんとだ・・すごいよ!これ本物の絹で出来てるに違いないよ!」

ハリーがドレスの端を手に取ってみると、なめらかな光沢のある手触りが伝わってきた。

「贈り主は誰かしら?ひょっとして彼女の秘密の恋人だったりして・・」

ハーマイオニ―がロン、ハリーに茶化して言った。

「ちょ、ちょっと待ってよ!そ、そんなわけないよ!」

ハリーが慌てて突っ込んだ。

「うわ〜ハリー焦ってるぜ。まあ当たってるかもな。な、ハーマイオニ―」

ロンがクスクス笑って、彼女に振った。

「誰だと思う?」

ハーマイオニ―が言った。

「僕はルーピン先生だと思うね。 とルーピン先生ってとっても仲がいいじゃないか!」

ロンが嬉しそうに言った。

「ルーピン先生なわけないだろう?このドレスはかなり高そうだし、これを買えるぐらいのお金があるんだったら

 彼は新しいローブぐらい買ってるよ!」

ハリーが断固として否定した。




三人がギャアギャア言っているうちに彼女は、そっと梟が膝に落としていった手紙を開封した。





お嬢様、元気ですか?


この手紙が君が実家に着く前に届くといいのだが。


バックとビーク、私は無事隠れている。残念だが、この手紙が別の人に渡る危険を考慮し、お嬢さんやハリーには居場所は


教えないでおこう。ディメンター達はまだ私を探していると思うが、ここにいれば到底私をみつけられないだろう。


ところで、君には大変世話になった。なのに色々と複雑な事態の為、君に充分な礼が出来ていない。


どうか私からの感謝の気持ちだと思って、この包みを受け取って欲しい。これは君のお父さんの国の民族衣装だ。


気に入ってもらえるだろうか?






追伸  厚かましいことだとは承知しているが、君に時々フクロウ便を出してもいいだろうか?

    こうやって出会ったのも何かの縁だと私は思う。


君の黒犬より



「だそうよ・・君の黒犬より・・これってシリウスのことじゃないの?」

「あーほんとだ〜お〜いハリー、見てみなよ。贈り主はシリウスだそうだよ!」

「えっ、シリウスがこんな高価なものをに?どういうこと?」

「ちょっと、あんた達いつから手紙覗いてたのよ!!」

の頭上にはハ―マイオニ―、ロン、ハリーの真剣な顔があった。

「分かった、分かった、ちゃんと説明するから!だからとりあえず座りなさい!」

はシリウスとはどんな関係なんだと質問攻めにしてくるロン、ハリー、ハーマイオニ―を無理やり座席へと戻した。

「ハーマイオニ―には話したと思うけど、ロンドンの屋敷で私は衰弱しきっている野良犬を助けたの。それがシリウスよ。

 私はまさか彼だと思わなくて屋敷で元気になるまで世話したわ。

 それからある晩、彼は黙って何も言わずに出て行ってしまった。その時のことを彼は手紙で言っているのよ」

彼女はため息をつきながら、三人に説明してやった。


「その礼にしても、これはすごい贈り物だな。僕の家はとてもじゃないけど手が出せないや」

ロンがうっとりと絹の服を眺めながら言った。

「そうだったんだ・・僕は本当に・・その の秘密の恋人からだと思ったよ」

ハリーは安堵して言った。

は途端にボッと顔から火を噴いてしまった。

「あ、そうだ!兄貴達に聞いたんだけどさ、来年、正式なダンス・パーティがあってさ。僕達ももちろん参加出来るんだ。

良かったじゃないかぁ!そのドレス、とってもいいから来年着てきなよ!

 聖パトリック・ディとはわけが違うぜ!皆の注目の的となること間違いナシだ!」

ロンが嬉しそうに言った。

ちょうど彼の話が終わったところで汽車はキングス・グロス駅に着いた。


「フェリトン(話電)するからな!三人共!」

「ロン、テレフォン(電話)でしょう!」

「じゃあ、また 、ロン、ハーマイオニ―!」

「バーイ!来年ね!」

四人 はカートを引っ張り、それぞれの家路に向かって歩き始めた。



「まもなくロンドン発ミュンヘン経由ーブカレスト着便・・離陸致します・・」

ロンドン空港のアナウンスが響き、やがて一台の飛行機は大空へと消えていった。

機内では迎えに来てくれたミナが眠りこけている。

は機内食を頬張りながら、つまらなさそうにシリウスからの手紙を読み返していた。

「ん?何か言った?ここはどの辺?」

ミナが偶然目覚め、彼女に尋ねてきた。

「ちょうど今、フランスの辺りを飛んでるわ」

は慌ててシリウスからの手紙を後ろに隠した。

「ふぁ〜あ、眠くて、眠くてしょうがないわ。聞いてくれる? 。私今年一年、ケンブリッジ大学の特別講師をしてたでしょ。

 そしたら急に一人教授が辞めちゃって、向こうが教授の職を引き受けてくれるなら、あなた専用の研究室を提供しますって。

 どう?この話?引き受けるべきか悩んでるの。あなたのこともあるし・・」

ミナは何度も大あくびをしながら、 に尋ねた。

「すごい!伯母さんが教授になるなんて!これはチャンスよ!私のことは構わないで引き受けるべきだわ!」

は嬉しそうに言った。

「そう?本当にいいの?」

ミナが言った。

「もちろん!それに研究室は伯母様の長年の夢だったじゃない!ああ、私からも一つ提案があるの!いいかな?ハンガリーの

 ゲデレーの城館を売却して・・そのお金で魔法界のどこかに研究所を立てたらどうかしら?ケンブリッジ大が研究室を提供しますって

 言ってもそこで出来るのはマグルの科学だけでしょ!ね?研究所が出来れば魔法界の優秀な科学者が沢山来るわ。

 もちろん伯母様は所長で、大学の休みにそこで魔法薬学の・・・」

「ああ、 、何て素晴らしいアイデアなの!私はとても思いつかなかったわ!ゲデレーを売るのは大賛成だわ!

 ちょうどあそこの城館が欲しいって博物館と、侯爵家が商談を申し込んできてるの。決めた!さっそく売却しましょう!」

ミナは大喜びで を抱きしめた。



やがて飛行機はミュンヘンを経由し、最終目的地ルーマニアのブカレストに到着した。

いつものように迎えに出てきたポーターに荷物を渡し、フォードアングリアに乗り込み、トランシルバニアを目指した。

城ではサロルタや他の料理人達が忙しく飛び回っていた。

「サロルタ!!スープはまだ出来上がらないのかい?」

「もうすぐです!」

「早くしないと大奥様とお嬢様が帰ってきなさるよ!」

厨房はお昼を迎え、お腹をすかせて帰ってくる人のために上や下へのてんてこまいだった。

ミナが昨年雇い入れたハンガリー人女性、サロルタ・マイラートは弱視ながらその料理の腕前はなかなかのもので、現在厨房では

スープ作り、菓子作り、パン焼きを専門に任されていた。




城の大きな扉が開いた。

ミナと が帰ってきたのだ。

「あっ、奥様、 嬢様お帰りなさいませ。昼食の用意が出来ています。」

鼻の頭にパン粉をつけたまま、サロルタが厨房から出てきて二人を迎えた。

「ありがとう。あの・・悪いんだけど にミルクをやってくれない?」

はケージから猫を取り出すと、サロルタにそっと渡した。

「いいですよ。お嬢様」

サロルタは快く引き受けると、猫を近くの椅子に置き、厨房にミルクを取りに走りにいこうとした。

「ついでだけど・・あなたの鼻、パン粉がついてるわよ。」

は彼女に注意してやった。

「すみません・・・以後気をつけます。」

サロルタは急いでパン粉を落とすと、再び厨房に走っていった。

「なかなか良く働く子でしょう?最近の料理人って怠け者ばかりであの子を選ぶのに苦労したわ」

大テーブルについて、スープにスプーンを入れながらミナが言った。

「でもねえ・・・あの子自分の家のことは何一つ語ろうとしないのよ。・・・でもいい子なのよね」

ミナはパン籠から、焼きたてのゼンメルを取った。

「サロルタって幾つなの?ずいぶん若いように見えるけど」

はサーモンの香草焼きを切り分けながら、尋ねた。

「19よ。あの子は身寄りがないの。私がたまたまハンガリーで料理人の職を募集した時に来たの。

 彼女は農家で育てられて、そこの人が死んで、都会に出てきたの。あの子のこといろいろ調べてみたんだけど

 どうやらどこか貴族の家から養子に出されたらしい記録が見つかったの。サロルタ・マイラートって名前も偽名だということが分かったわ」


ミナはそこでフォークとナイフをガチャリと置いた。

「偽名!?伯母様、何でその子を雇おうという気になったの!?」

はラディッシュのサラダを突付きながら、驚いて尋ねた。

「だって仕事に対してとても情熱を持っていたし、放っておけなかったの。サロルタは弱視だから

 普通のレストランは雇ってくれないでしょう。彼女は住み込みで働ける職を探していたの。だから少しぐらいのハンデ

 ぐらいいいかなって思って雇ったわ。」


ミナは感慨深げに言った。


「ねえ、伯母様、聞いてもいい。サロルタには言わないから!彼女の本名は何なの?」


は小声で尋ねた。


「いい、ここだけの話よ!絶対本人、他の料理人や執事に喋っちゃだめよ!約束よ!」

ミナは深刻な顔で釘を指した。

「彼女の本名はジェニファー・アダムズ・ブラック」


はびっくりしてフォークとナイフを取り落としてしまった。

「ブラック!?ブラックってあの、あの魔法界のシリウス・ブラックの家のこと!?」

は大声を上げそうになった。

「静かに!!分からないわ・・でもブラック家は確かに魔法界の名門貴族だし・・だけどそれ以上詳しい資料を探そうにも見つからないの。

 誰かが肝心の資料を抹消してしまったみたいで・・」

ミナは言葉を落し、デザートのユグノー風タルトに手を伸ばした。

「ねえ、伯母様!ブラックって名前は他にもあるの!?」

は食べるのを忘れて必死に聞いていた。

「いいえ、ブラックって名前は1、2件ぐらいしかないはずよ・・貴族の名前でそんなに重なっている名前って

 ないと思うから・・」

ミナは考え込んでいった。

「伯母様、それと彼女は魔法族、マグルなの?サロルタに聞いてみたことある?」

はデザートをスプーンですくった。

「いいえ、そんなこと関係なしに雇ったから・・聞いてないわ」

ミナは首を横に振った。




結局会話はそこで途切れてしまい、ミナは昼食を終えると自室に引き上げ、学生のレポートや論文の束に目を通し始めた。

「彼女の年齢と、もし本当にブラック家のメンバーならシリウスの妹という可能性も少なくないわね。」

ミナは会話の最後に意味ありげな発言を残した。



翌日、ふかふかの羽毛布団で眠り、すっかり旅の疲れが取れた は城のバルコニーに出て、朝の清清しい空気を吸い込んだ。


するとそこに梟がホウホウと鳴いて、飛んできた。

足には手紙が括り付けられている。

「ごくろうさま」

はそうねぎらってから手紙を開封した。

梟は仕事料ももらわずに飛んでいってしまった。

「ルーピン、じゃなかった、リーマスからだわ!え、今から?行くに決まってるでしょう!」

は手紙を放り出すと、青のジーンズ、白のタンクトップ、ピンクの薄手のアイリッシュレースで出来たカーディガンを身に付けた。

「それにしてもどこへ連れてってくれるんだろう?」

はベルの紐を引っ張ると、部屋にやってきたサロルタに、リーマスの所に行くと伝えた。

嬢様、奥様には伝えておきますので、どうぞごゆっくり」

「あ、それからたぶんお昼はいらないと思うの!」

はサロルタに告げると、城から出て行った。

黒い森の出口まで彼女は走っていった。

「やあ、お帰り!!きっと来ると思ってたよ」

出口にはスカイブルーの色あせたジーンズ、真っ白な袖なしTシャツ、グリーンの薄手のジャケットをまとったルーピンが立っていた。


「リーマス・・とても会いたかったわ・・」

は大好きな人に会えて、思わず抱きついてしまった。

「これから、海を見に行かない?」

リーマスは嬉しそうに彼女を抱きしめながら、耳元で囁いた。

「海?海って黒海のこと?」 は彼からそっと離れて聞いた。

「そうだよ」

「あ、そうだ、リーマス、車運転出来る?」

「出来るけど、でも私は車持ってないよ・・」

「大丈夫ですよ!アクシオ!フォード・アングリア!」

は杖を振り上げ、叫んだ。

大きなエンジン音がして二人の目の前に真っ白のフォード・アングリアが姿を現した。

「さ、乗って下さいな!運転よろしくおねがいしますね」

は運転席のドアを開けた。

「でもこれは君の家の車だろう。勝手に駄目だよ!」

ルーピンは断ろうとした。

「いいから、いいから今日だけ!乗って下さいな!」

は強引にリーマスを運転席へと押しやると自分は、反対側のドアから助手席に乗り込んだ。

「しょうがないな・・・じゃあ運転させてもらいますよ」

リーマスは嬉しい気持ち半分と、後ろめたい気持ち半分でハンドルを握り、ドアを閉めた。

車は山道を駆け下り、シビウの県境、ガラツを通過した。

時刻は朝の九時、国道からは黒海らしき海が見える。

「リーマス、潮風が吹いてきたわ!今どの辺?」

は窓を少しだけ開け、風を感じた。

「えっと地図によるともう少しでドナウ川だ!森があるけど、幸い車が通れる道はあるよ。」

リーマスは嬉しそうにハンドルを切り、国道を外れた。

車はやがて林道に入った。

針葉樹が続き、近くでは小鳥がさえずっていた。

ドナウ川に沿って車はぐんぐんと進んだ。

「あと少しでドナウ川三角州だ。三角州が途切れたところに海岸があるよ!」

リーマスはアクセルを踏み、更にスピードを上げた。




「はい、ようやく到着だ。 。」

リーマスは運転席側のドアを開け、回り込んで助手席側のドアを開けてやった。

「ありがとうリーマス。」

は車から降り立つと、リーマスの側に行った。


波がゆっくりと押し寄せてくる。

二人はしばらくぼうっと海を眺めていた。

「リーマス」

が彼の顔を見上げた。

「何だい?」

「私、海は初めてなの」

「え?今まで来たこととないの?」

リーマスは不思議そうに聞き返した。

「違うわ。誰かと一緒にきたのは初めてなの・・だから私にとって最初の海なの」

は嬉しそうに彼の顔を見上げて言った。

「そう、私達にとって最初の海でもあるけどね」

リーマスはかすかに微笑んで呟いた。



「今日は何もかも忘れてのんびりしたいわ・・・あんなことがあった後ですもの・・・何だか落ち着かなくて」

は学期最後に起こった事件を思い出して、胸がせつなくなった。

「私も・・・まだあの事件のことが頭について離れないんだ。心の整理がつかないうちにホグワーツを慌しく

 出て行ってしまったしね」

ルーピンは悲しそうに空を見上げて言った。

「ね、今日はのんびりしましょう!一度気分を入れ替えて、美味しいもの食べて!」

は元気よく言った。

「そうだね・・」

リーマスは顔をほころばせた。



二人は波打ち際を歩き始めた。

カモメが沢山目の前を飛んでいた。

二人は手をつないで、真っ白な砂を蹴り、カモメを追っかけて砂浜を駆け抜けた。

カモメが二人の頭上を慌しく飛び回っている。

リーマスは心から笑い、もつられてケラケラ笑い、彼の左肩に嬉しそうにもたれかかった。

それから二人は手をつないだまま、波が満ち引きするのに合わせて、水しぶきがかかるのも構わずに、

波に近寄ったり、遠ざかったりして楽しんだ。

二人は更に海岸をあてどもなく歩きつづけた。

「見てよ!このコイン!」

リーマスに寄り添うように歩いていた は何かを見つけたらしく、波にさらされた砂の中に手を入れた。

「すごいな・・あっ、 こっちに二枚も落ちてる・・誰かが落としていったんだね」

リーマスはにっこりと笑って、砂の中に手を突っ込むとルーマニアのコインを三枚も拾い出してみせた。

「すごい、三枚も!もうけたわ!」

は喜んで、さらに海水にさらされた砂の中にあるコインを摘み上げた。













波の音が間近に聞こえる。

「あ〜海の臭いって気持ちいい〜」

「そうだね・・ 。空も青くてきれいだなぁ」

二人はリーマスのジャケットを砂浜に敷き、その上に寝転んで、大空を眺めていた。

リーマスの腕はの頭の下にひかれていた。

その時、彼らに向かって黒い大きな可愛らしい犬が駆けてきた。

そして可愛く鳴いて尻尾を振り、二人の間に割り込んできた。

「うわ、この子どこの子?」

が目を輝かせて言った。


「どこから来たの?」

大きな犬はリーマスの腕の中にヒョコヒョコと収まった。

「可愛い〜」

「可愛いな〜」

リーマス、 は起き上がってこの可愛らしい大きな犬を撫ぜた。

犬はリーマスにフンフンと鼻を鳴らし、じゃれつき、 の方にも近寄ってきて彼女にじゃれついた。

「ちょっと待て・・こいつは犬じゃない・・まさかシリウス?」

リーマスは辺りに誰も飼い主らしき人がいないのを不審に思ったのか、黒犬を片手で摘み上げた。

「え?この犬、シリウスなの?」

は驚いて犬を撫ぜる手を止めてしまった。


                             


「ちょっと、シリウス、シリウスだろう?」

ルーピンは辺りに誰もいないことを確認すると、黒犬に尋ねた。

黒犬はひどく嬉しそうに吠えると、尻尾を振ってルーピンにじゃれついた。

「間違いない・・こいつはシリウスだよ。それにしても何故ここにいるんだ?」

ルーピンは黒犬をじっと見た。

「ねえ、リーマス、ほんとうにシリウスなの?」

は信じられないという顔でルーピンを見上げた。

「ああ、間違いないよ・・彼はシリウスだ。」

ルーピンは犬をじっと観察しながら、感慨深げに言った。

犬は何かいいたそうにしきりに吠えていた。

「とても信じられないけど、ほんとにシリウスなら人間の姿に戻れることが出来るでしょう」

は無意識のうちに犬の頭をわしわしと撫ぜていた。

「だけど、ここじゃ・・あっ!誰か来た!とりあえずどこか話できる場所を探そう。シリウス、 、車に乗って」

ルーピンは三角州のほうから、観光客らしき団体がきたのが視界に入ったので、急いで海岸近くに止めていた真っ白な

フォード・アングリアに向かって走っていった。

、黒犬もすぐに後に続いた。


は後部座席のドアを開けてやり、黒犬を先に乗せた。

そして彼女は助手席のドアを開けると、中に素早く乗り込んだ。

ルーピンが運転席に乗り込み、ドアを閉め、キーを入れ車は砂を蹴って、もと来た道を駆け出した。

彼はドナウ川流域をすごい勢いでぶっ飛ばし国道へと入った。

「あ〜ずっと犬でいるってのも疲れるな〜」

後部座席から小さな煙が上がり大人の男性の声がした。

「シリウス!やだ、本当にシリウスじゃない!」

はパッと顔を輝かせて後部座席を振り返った。

「よう!久しぶりだな!嬢さん!まさかこんなとこで会えるとはな〜」

シリウスは嬉しそうに頬を染めて、朗らかに笑った。

「リーマス!また会えて嬉しい!いつルーマニアに来たんだ?」

後部座席からシリウスは呼びかけた。

「それはこっちのセリフだよ!パッドフット。君こそ、この近くに隠れているのかい?ハリーからあの日、バックとビークと

 ともに君を逃がしたって聞いたけど!」

ルーピンは運転中なので後ろを向かずに尋ねた。

「ああ、ムーニー。私はあの日バックとビークで出来るだけ早くイギリスを離れた。あそこは一番監視体制が厳しいからな。

 ずっと飛びつづけていたら上空からルーマニアの黒い森が見えた。ここは吸血鬼、狼男とか危険な輩が住んでて地元の人間でさえ

 森には近づかないだろう?バックとビークを休ませなければいけなかったし、しばらくここに潜伏しようかと考えたんだ。」


とシリウスは言った。


「そうだったのか・・パッドフット。とにかく私もまた会えて嬉しいよ!」

リーマスは運転席から嬉しそうに言った。

「ところで、ムーニー、お嬢さん、どっか話できる場所はあるのか?」

シリウスは心配そうに言った。

「ねえ、リーマス。ルーマニアではシリウスは見張られてるの?」

も心配そうに聞いた。

「う〜んそうだね、イギリスではマグル、魔法族の間でかなり話題になってるけど・・日刊預言者新聞がヒッポグリフのことと

 シリウスが逃亡中のことを書いてたし。ここではたぶんイギリスからだいぶ離れてると思うから大丈夫だと思う。

 ただしここにも魔法族がちらほらいるから

 その人達はシリウスの逃亡のことを知っているかもしれない。

 マグルは大丈夫だよ。ここからイギリスまでかなり離れてるから報道されていないと・・思う。」

ルーピンは困ったように言った。

「なんかずいぶん自信のない言い方だな・・こうしないか?お前の家はどこにあるんだ?」

シリウスはポンと手を打って、後部座席から提案した。

「トランシルヴァニア地方、シビウ県だよ。田舎の方だ。そこにするかい?」

リーマスは言った。

「ああ、とりあえずそこに行こう。あとどれぐらいかかる?」

シリウスは安心したように言った。

「あと三十分ぐらいだ・・急ごう」

リーマスはアクセルを踏み、スピードを上げた。


やがて車はガラツを通過し、シビウ県の県境に入った。

ここから先は山道となった。ガタガタとあちこち揺られながら車は進んだ。

「シリウス、大丈夫?気持ち悪くない?」

は後部座席で顔を真っ青にしてうずくまっているシリウスに呼びかけた。

「大丈夫、大丈夫だ・・ははは・・ウッ・・」

シリウスは必死に車酔いに絶えていた。

「パッドフット、もうすぐだ。もうすぐで私の家だよ」

リーマスは運転席から朗らかに言った。




「うわぁ・・まずい時に着ちゃったよ」

リーマスは頭を抱えて運転席にくずおれた。

「どうかしたのか、リーマス」

すっかり酔いの覚めたシリウスが後部座席から聞いてきた。

「あれ、もしかするとリーマスの家?」

は絶望している彼に声をかけた。

「そうだよ・・私の家だ・・・はぁ〜どうしよう。入れないじゃないか」

リーマスはぐったりとしていた。

「何なんだよ・・あの人だかりは?」

シリウスが不思議そうに聞いた。

「忘れてたんだよ・・・今日はこの地方で祭りがあるんだよ〜」

リーマスはうめいた。


とシリウスはそっとそれぞれの位置から、人だかりを確認した。


「ねえ、あのイギリス人の男の人はまだ帰ってきてないの?」

「そうなのよ・・今晩のダンスを申し込もうと思ってるんだけど」

「彼すごい人気だからねぇ、予約しとかないと」

「あら、私は彼が帰ってくるまでここで待つわ、誰かに先を越されたら困るんですもの」

「私も、もうすぐ彼は戻ってくるわ」


「あのイギリス人って?」

シリウスと はリーマスの家で待ち構えている若い女性陣の会話にお互いに顔を見合わせてしまった。

「たのむ・・今日だけは勘弁して欲しいな・・毎年来るんだ。」

リーマスは頭を抱えて答えた。


「リーマス、学生時代と比べてはるかにもてるじゃないか!」

シリウスがにやにやとして彼をからかった。

、君のとこしかない・・・頼む・・そこへ行こう」

リーマスは彼女の手を握ると頼み込んだ。

「だけど、他に車が通れる道はないんじゃ・・・」

が絶望的な調子で言った。

「この車、空を飛べないのか?」

シリウスがふと思いついて言った。

「そうするつもりだよ」

リーマスは杖を取り出すと、何か呟き、車をまず透明にし、周りから見えなくした。

「行くよ!」

彼はハンドルを回し、アクセルを踏むと大空へといっきに急上昇した。


そして、車はいっきに空を飛び、カルパティア、トランシルヴァニア山脈の中腹にある彼女の居城の城門前に到着した。

三人は車を降り、 が門の前に行くと、ひとりでに城門は開いた。



城の大きな扉に は手をかけ、開かせた。

シリウスは城の古さと壮大さに目を奪われている。

彼は素早く犬の姿になった。

三人は城内を歩き、一階の客間に入った。

はサロルタを呼びつけると、客人に軽食を運んでくるように伝えた。

「あなたがここへ運んできて・・・それからこの部屋には誰も入らないようにして」

彼女 はサロルタに最後に付け加えた。

「大丈夫よ、シリウス・・弱視の子がここに軽食を運んでくるけどあなたの姿はほとんど見えないから・・変身を解いてていいわ」

彼女は椅子に座ってぼけーと天井やら装飾品を眺めている犬に声をかけた。

「助かった〜何から何までありがとうな・・お嬢さん!」

シリウスは変身を解き、ドッと椅子に座り込んだ。

「ねえ、もしかしてここにはきたことあるの?」

はそんな奇妙な予感がしてシリウスに聞いてみた。

「ああ、エイミーとデニスの結婚式の時に一度招待された。あの時と何一つ変わってない・・」

シリウスは感慨深げに呟いた。

「そうそう確かジェームズ、リリー、ピーター、私、君が招待されたんだったね・・君ったら酔っ払って式に

 乱入して・・」

リーマスはおかしそうにその時のことを思い出して笑った。

「おい、ムーニー。恥ずかしいからそれ以上いうな!」

シリウスは慌てて悪友の口を閉じさせた。



ドアがノックされた。

「失礼します。お客様・・軽食をお持ちしました・・」

サロルタがワゴンに三人分の食事を載せてやってきた。

彼女は近くの小テーブルに銀のトレーを持っていこうとした。

「ああ、いいよ!それぐらい自分で持っていくから」

リーマスが席を立とうとした。

が、その前にシリウスが素早く席を立って、ワゴンの前にいった。

「私が持っていく・・」

「いいんです、そんなこと」

サロルタはシリウスから銀のトレーを取り返そうとした。

その時、二人の手と手が触れ合った。

「あ、すみません・・」

サロルタは慌てて手をひっこめた。

「あの・・どこかでお会いしたことはありませんか?」

彼女は勇気を振り絞ってシリウスに尋ねてみた。

「いいや・・」

シリウスは自分より若い赤毛の女性を不思議そうに眺めた。

「そうですか・・そう・・ですよね・・すみません・・変なこと聞いて・・では失礼します・・」

サロルタはどこか悲しそうな声ですごすごと引きさがり、ドアを閉めた。


「なんか不思議な女性だな・・実は私も会った時初めてだという感じがしなかった・・・」

シリウスはナイフとフォークを動かしながら、に言った。

、あの子は最近入ったのかい?」

リーマスまで聞いてきた。

「ええ、一年前にハンガリーで伯母様が見つけたの・・」

は口に物を頬張ったまま答えた。

「名前は?サロルタだったけな・・心あたりの無い名前だ」

シリウスは呟いた。

(そりゃ偽名ですもの)

は心の中で呟いた。

「ところでパッドフット・・今後も黒い森に隠れるつもりなのかい?」

リーマスが話題を変えた。


「いいや、ムーニー、お嬢さんに迷惑はかけられない。今夜バックとビークを連れてここを飛び立ち、オセアニアあたりに

 逃亡するつもりだ・・あそこなら魔法省の手も伸びない」

シリウスはそこでナイフとフォークをガチャリと置いた。

「また行ってしまうのか・・パッドフット」

リーマスは寂しそうに言った。

「すまないな・・リーマス。だが必ず、無罪を勝ち取ってお前の元に戻る!信じてくれ・・」

シリウスも寂しそうに言った。

「お嬢さん、君は見送ってくれるか?」

シリウスはかなり寂しそうに言った。

「ええ・・」

はキュンと胸が痛くなり、言葉につまった。



楽しい時間はいっきに過ぎた。

シリウス、 、リーマスはバックとビークに乗って黒海の海岸に来た。

「じゃあな、リーマス」

シリウスはギュっとルーピンを抱きしめた。

・・・」

シリウスは寂しそうに彼女を自分の側に呼んだ。

「あのプレゼントありがとう!大事にするわ」

はシリウスに抱きついた。

「気に入ってもらえてよかった・・・君に会えて本当によかった・・」

シリウスは の腰に手を回しながらリーマスに聞こえないぐらいの声で囁いた。

「今度こそ、ほんとうにお別れね」 は悲しそうに彼に言った。

そのままシリウスは、彼女を抱きしめて離れないんじゃないかと感じたリーマスは慌てて二人を引き剥がした。

「すまない・・ムーニー、お嬢さんでは!」

そういうとシリウスはバックによじ登り、わき腹をかかとでしめ、助走をつけ、あっという間にビークとともに

果てしない闇の空へと舞い上がり、消えてしまった。



二人は彼が点になるまで見送っていた。

「さあ、私達もそろそろ戻ろうか・・・」

「ええ」

リーマスはかすかに微笑むと、彼女に手を差し出した。


二人は真っ黒な闇の中、手をつなぎ、家路へと歩みだした。
 


アズカバンの囚人編、ようやく終了です。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。













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