リョウマは果敢に向かっていくが、死神の鎌の持ち手で何度も腹を叩かれてうずくまってしまう。

「リョウマ!」

ヒュウガが危険を感じて叫んだ。

それを見たは鴛鴦斧片手に勇敢に突っ込んでいった。

はワイヤーを緩めて左右に分離させた一対の鴛鴦斧を構え、

ひらりひらりと舞うように斬り込んでいった。

彼女は片足を軸にひらりと飛び上がり、空中で横トンボ返りをして死神の

鎌を持っている腕を蹴り落とそうとしてくる。

死神はすんでのところで飛びすさると彼女の蹴りを避けた。

その二人の剣戟のあまりの凄まじさに、炎の兄弟は近寄ることもかなわなかった。

がくるくると回転しながら斬り込んで行き、遂に敵の鎌の持ち手に鴛鴦斧を引っ掛けて

その動きを止めた。

焦った死神は鎌から鴛鴦斧を引き抜こうとし、隙が出来たと確信したリョウマはヒュウガに目配せした。

「今だ、星獣剣!」

リョウマは兄の組み合わされた両手に飛び乗ると、そこから勢いをつけて

死神に飛び斬りを食らわした。

にばかり気を取られていた死神は後ろからざっくりと

切り付けられ、「ウォーッ!」とくやしそうに悲鳴を上げて絶命した。

そのまま三人は喜びを分かち合う暇もなく、工場の内部目掛けて突っ走った。

「殺気!」

リョウマ、ヒュウガと一緒に走っていたは耳をそばだてて叫んだ。

彼らもあきらかに異変に気づいたらしい。ハッとして後ろを振り返った。

二階の欄干部分から死神が豪快にジャンプし、リョウマ達めがけて

鎌を叩きつけようとしてきた。

三人はとっさに同じ方向に避け、ヒュウガは大きく振り上げられた鎌の下を

転がって避け、リョウマは星獣剣を振り上げた。

だが、鎌の持ち手で太ももを打撃され、押さえ込まれてしまう。

間に割って入ったヒュウガも、鎌の一振りをジャンプして避け、なんとか

相手の鎌の持ち手をつかんで押し返そうとしたが、膝蹴りを食らい、近くに山積みになっていた

ダンボールの中へ激突した。

「兄さん!」

ヒュウガは兄を守ろうと立ちはだかり、死神が大きく鎌を振り回して作った

緑色の閃光を両手で受け止め、相手の邪悪なエネルギーを吸収して倍返しのアースを放った。

死神は派手に吹っ飛ばされて資材置き場の隅に叩きつけられた。

「ヒュウガ、大丈夫?」

はうつぶせに倒れて埃をかぶっていた彼を助け起こした。

「ああ、俺は何ともない、それよりリョウマは・・」

「兄さん、俺は平気だ」

ヒュウガはに頷いてみせ、リョウマにさっき落っことした大切な星獣剣を渡してやった。

「兄さん、さっきの話なんだけど・・」

「星獣剣、俺に返すっていうのか・・」

リョウマは決然とした顔つきで兄に告げた。

「そうしようかと思ったよ。今日、久しぶりに兄さんの腕を見て・・」

その答えにヒュウガの目が鋭く光った。

「でも兄さん!俺にこのまま星獣剣を使わせてくれないか?」

「前の俺ならこんなこと思いもしなかった」

「でも、今ならはっきりと言える!俺は戦っていけると思うんだ!!」

「星獣剣を司る戦士として!!」

「宇宙海賊を倒したいんだ!!」

そう熱っぽく訴えるリョウマの目はきらきらと輝いていた。

「兄さん!」

「ヒュウガ、危ない!」

鎌をもたげる音に、リョウマとに戦慄が走った。

ヒュウガはさっと振り返ると、死神の鎌をはっしと受け止めて弾き飛ばし

どっと突進していくと、星獣剣で下から突き上げるように切り裂いた。

死神は炎の剣をを受けてあっけなく事切れていた。

「リョウマ、俺がこの剣を使うのはこれが最後だ!」

ヒュウガは弟の剣をすっと突き出すと誇らしげに宣言した。

「いつの間にか成長したな、リョウマ・・」

「お前が一言でも剣を返すと言えば、俺は取り上げるつもりだった・・」

「お前はもう、俺の代わりなんかじゃない」

「銀河の守護戦士はお前だよ」

そして、あの穏やかな微笑を実弟に向けた。

「急がないと、儀式が終わったらまずいことになるわ!」

「ああ、そうだな」

「行くぞ!」

の一言で、二人は感傷にひたっている暇はないことを思い出し

大急ぎで駆け出した。

ヒュウガの飛び蹴り、リョウマとの剣の二突きによって堆積していた

ダンボールの山が崩れ落ち、中から三人の攻撃をまともに食らって

吹っ飛んだ死神が転がり落ちた。

「貴様ら、よくも俺の可愛い人形たちを!!」

髑髏の騎士、ゲルトゲルトの怒りは半端ではない。

「盾の中の鏡に閉じ込めてくれる!!」

ゲルトゲルトはドラム缶に立てかけていた髑髏の盾を取りに行こうとしたが、

そうはさせるかとリョウマ、ヒュウガの「ダブル・炎のたてがみ」と

の「氷の慟哭」のトリプルアースに阻まれた。


三人の強力なアースのおかげで、工場内部で大爆発が起こり、

ゲルトゲルトや水兵達は衝撃波で外に吹っ飛ばされた。

髑髏の騎士の盾はカンカラカーンと派手な音を立てて、真っ二つに割れた。

ウィスキー状のエキスで巨大化したゲルトゲルトをどうすることも出来ずに

見守っていたヒュウガの元に黒騎士の形見のブルライアットが自らの

意思で飛んできたのはそんなときだった。

黒騎士の遺志をヒュウガは汲み取り、ブルライアットを高く掲げて

「騎士転生!」を図った。

するとどうだろう。

黒騎士の甲冑やマントが彼を覆い、ゴウタウラスも新しいご主人目掛けて

やってきた。

こうして、の聖獣、スレイプニルとリョウマ達の聖獣とともに

力を合わせてゲルトゲルトを倒すことが出来たのだった。








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