「最後の言葉は慎重に。テルマール人のお若いの」

ハリエニシダの茂みをかき分けて飛び出したちっちゃな影は

驚いてひっくり返ったカスピアンにレイピアーを突きつけた。

「お前、ネズミなのか?」

カスピアンはこの意外な刺客におっかなびっくり、目をしばたいた。

「これはお前の遺言になるやもしれんのだぞ。もっと他に言葉はないのか?」

ふさふさの毛並みのネズミは大きくため息をついた。

「さあ、剣を取れ」

「いや、断ろう」

「剣を取れ。私は丸腰の相手を切る趣味はない!」

「剣を交えず私は生き延びたい。気高きネズミの剣士よ」

カスピアンはこのちっちゃなネズミを落ち着かそうと言葉を

選んで慎重に言った。

「お前を生かしておくとは決めてないぞ!」


「リーピチープ!」

王子の喉元に再び銀の剣先が迫った時、の腕に抱かれたアナグマが

やってきて一喝した。

「よさんか!」

「松露取り?おお、それに、これはこれは・・女王陛下。様!」

たちまちネズミの剣士は、アナグマを抱く美しき妖精の姿を見止めると剣を鞘に収め、

赤い羽根飾りのついた帽子をさっと取って、深々とお辞儀した。

「陛下。大変申し上げにくいのですが、このテルマール人の若者はいったい何故陛下とご一緒に?」

「リーピチープ、この人がナルニアの失われし角笛を吹きました」

「何と・・」

は静かに述べ、これを聞いたネズミの剣士は大変驚愕していた。



夕闇が完全にとばりを下ろす頃、針葉樹の黒い森ではナルニアの住人達が怒り狂っていた。

「侵入者を殺せ!」

「その失われし角笛は我々ナルニア人から盗んだものだ!」

「陛下はそやつに騙されている!」

住民の怒号が飛び交う中、カスピアンは何とも居心地の悪い状況に立たされていた。

「盗んだりなどしていない」

「していないだと?」

「我々からテルマール人の連中が奪ったものは何だ?」

「私達の住処!」

カスピアンを敵視するミノタウロスの問いに、若いセントールの女性が憤って叫んだ。

「俺たちの自由もだ!」

若いフォーンの男性が吼えた。

「そして、俺達の生命まで根こそぎ奴らは奪った!」

「それが全て私に責任があると?」

納得のいかないカスピアンは静かに問いかけた。

「そうとも。お前は罰を受けねばならん」

「陛下。あなたもですぞ。我々に何の相談もなくこやつを爆弾投下するとは・・」

初めからのことをよく思っていないニカブリクは苦々しげに言った。

「笑わせるな、ニカブリク」

「お前に陛下のことを悪く言う資格はないぞ。お前の先祖は白い魔女に味方したんだからな」

腰に差した細身の剣をさっと抜いてリーピチープはとうとうとまくし立てた。

「ああ、そうとも。こいつらを追い出すためなら俺は何度でもそうするね」

「俺はもう、陛下の突拍子もない方針についていけん」

黒小人はさらさら悪びれもせずに、カスピアンとこの元凶を作ったを睨みつけて言い放った。

「何より白い魔女が生き返らなくて幸いだ」

「この王子をアスランと一戦交えさせる気か?」

温厚なアナグマが群集を押しのけてやってきた。

彼の口から出た「アスラン」という希望の名に住民達は歓喜の声を上げた。

「我々は覚えている。アダムの息子とイヴの娘、そしてその後を引き継いだ赤い魔女が

 王や女王であった時だけナルニアは平和に満ちていた」

「だが、何故、テルマール人を俺達の王に据える必要がある?森の貴婦人の力だけでは役不足だと言うのか?」

温厚で知恵者のアナグマの発言に群衆はざわめいた。状況がだんだん不利になってきていると感じた二カブリクは不満そうに反発した。








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