翌朝、幽助、ぼたん、の三人はぶらぶらと繁華街を出歩いていた。
「はいな!これ、コエンマ様からだよ♪」
ぼたんは人懐っこい笑みを浮かべると、濃紺のセーラー服のポケットから封筒を取り出した。
「す、すっご〜い!!こ、こんなに貰っていいんですか!?」
は歩きながらぼたんから手渡された封筒の中身をそっと覗いてみて
びっくりした。
まるで勤め人以上の給料だ。
「これであんたも宝石なんぞ盗まなくても、ちゃんと来期の学費云々充分払って
いけるだろうってコエンマ様が言ってたよ♪」
「じゃ、ちゃん。確かに今回の報酬は渡したからね♪ま、二人ともしばらく霊界からの
指令はないそうだからゆっくり休んどいで!」
「ふふふ〜じゃあねん♪」
にひひと笑いながら、勢いよく幽助、の肩を叩いたぼたんは
人ごみにまぎれて姿が見えなくなってしまった。
「素っ頓狂な奴だよなぁ・・あ、そーいやお前、この後どーするんだ?」
幽助は自分と肩を並べて歩くにふと思いついて尋ねてみた。
「あ、いけな〜い!約束の時間ちょっとオーバーしちゃった!蔵、じゃなかった南野君にお茶に誘われてるんだ。
じゃ、また!」
「あ、おい・・」
は、キラキラ輝く文字盤のカットガラスのパステルピンクの腕時計を覗き込んで、慌てて走っていった。
「おいおい・・あいつらいつの間に付き合い出したんだ?」
幽助は、緩やかなウェーブのかかった黒髪が人ごみの中に消えていくのを見守っていたが、
やがて、蛍子とデートの約束をしていたことを思い出したのだった。
「今回はいろいろ大変でしたね。やっぱり俺が一緒についていった方がよかったんじゃないですか?」
「けっこう危ない目にあったとかどうだとか・・」
「ううん、今回の初任務、一人でどこまでやれるか試したかったから、南野君にはあえて席を外してもらったの」
オフホワイトで統一された洒落たカフェのテーブルで、盟王学園の制服を着た二人はのんびりと向かい合っていた。
「それに、浦飯さんや桑原さんも一緒だったからあんまり苦労しなかったし。あの戸愚呂兄弟以外はね」
はそう言うと、泡立てた生クリームの上にチェリーを載せたコーヒーゼリーをスプーンですくった。
「へえ・・そういや幽助に聞いたところによれば、さん、あの三鬼衆の一人をさらりと倒したって話じゃないですか」
「う〜ん・・まあ、そうなんだけど・・いろいろ後味悪かったわね。実は、ここだけの話、あの美女妖怪、オカマだったの」
「え、オ・カ・マ?」
蔵馬はひそひそと口に手をあてがって喋るの爆弾発言にちょっと引いていた。
「うん、さすが霊界探偵というべきか、浦飯さんが私を狙って後ろから殴りかかろうとした魅由鬼を
取り押さえて直接調べたの」
「すごいといえば浦飯さんよね〜あの僅か数秒の間にあの女の胸とナニを触って直接確かめたんだから・・」
「は、はは・・ど、どこであんな芸当習ったんでしょうね〜」
蔵馬はこんな際どい会話、デートにはふさわしくないなと内心思いながら
レモンティーを飲み干した。