と白面郎の意外な助勢のおかげで、サスケ達は形勢逆転を計り、
運悪く大魔王は取り逃がしたが、この元凶を作った唐傘を滅することが出来た。
それなのにこの悪がきどもときたら、しっかり反省しているかと
思えば助けてくれた六人の忍達の隙をついて、隠し持っていた浜辺の砂をぶっかけたので
再び頭に来たサイゾウ、ジライヤ、セイカイに追い掛け回されていた。
(あの人・・まさか裏切ってないんじゃ・・)
「よかった」「よかった」と二人浜辺にたたずむサスケと鶴姫を尻目に
は一人、白面郎の理解できない行動について物思いにふけっていた。
白昼の商店街を逃げ惑う人々。
その後ろにはジープに乗って猟銃をぶっ放すぶっそうな牛鬼の姿があった。
なすすべのない人々は次々と牛鬼がぶっ放した弾に当たって
もんどりうって転んだ。
さらにやっかいな事に、牛鬼の弾に撃たれた人々は暴徒化し、
各地の銀行や宝飾店に押し入ると盗みを働いた。
騒ぎを聞きつけたサスケ達は貴金属店に押し入って出てくる暴徒を止めようとして
たちまち彼らともみ合いになる有様だ。
当然、押し寄せる人々にもみくちゃにされて彼らは宝飾店の前のアスファルトで舗装された道路に
放り出された。
行く手を阻む者が誰もおらず、ますます調子に乗った牛鬼は数時間も市街地を駆け巡り、
その間、ずっと銃を乱射し続けた。
住宅街を滑るように進む二人の男女。
忍びの衆の中で帰国子女の異色コンビだ。
ジライヤとは日本の狭い曲がりくねった路地をすいすいとローラースケートで
滑走し、階段を駆け上がると牛鬼の乗るジープの行く手を防いだ。
まず、ジライヤが驚いた牛鬼が発砲した銃弾を素早い反射神経で
地面を転がって避けた。
そして、その隙に紛れてが隠れていたツバキの茂みから飛び出し、手首を捻って棒手裏剣を
ジープ運転手のドロドロ目掛けて投げつけた。
手裏剣は見事ドロドロの首に突き刺さり、ジープはたちまち均衡を失って
急停止した。
牛鬼はぐったりとハンドルにもたれかかるドロドロを一瞥し、
それから棒手裏剣と鉄扇を油断なく構えた、不適な笑みを浮かべるジライヤを見比べた。
「お前ら何者だ?忍びか?」
ジープから降り立った牛鬼は猟銃を高く掲げながら尋ねた。
「僕はアメリカン忍者。荒野のガンマン。ジライヤ」
彼は片言の日本語で、牛鬼の視線を出来るだけから反らそうと名乗った。
「ガンマンだと!?」
「Come on,勝負だ!」
ジライヤは中指を立て、牛鬼の戦意を煽った。
「こしゃくな!ライフルの使い手牛鬼様に勝てると思ってるのか、若造め」
「Shut Up!」
怒った牛鬼にジライヤは一声短く吼えると、被っていたカウボーイハットを放り投げて
牛鬼の気が反れた瞬間に六連発銃を発射した。
だが、牛鬼は飛んできたカウボーイハットを軽く交わすと、
彼の銃弾が足元に直撃する前に、高くジャンプしてライフルを撃ってきた。
ジライヤは防ぐ間もなく右手首を撃たれてううっとうずくまった。
「ジライヤ!」
「とどめだ!」
牛鬼の猟銃が迫る中、たちまちローラースケートを駆ってが彼の元に駆け寄る。
次の瞬間、有無を言わせずの投げつけた煙球が爆発し、物凄い煙の中、牛鬼が目をこらした時には
二人の姿は跡形もなく消えていた。
「ちっ、逃げたか、馬鹿め!」
牛鬼は舌打ちすると、ライフル片手にまたどこかへ走り去ってしまった。