それから後は六人の忍びの衆の逆襲が始まった。
も猫丸の後ろから走り出て、大きく孤を描くように逆手切りを振るい、
アヤメやドロドロを切っていた。
サイゾウの乱れ蹴り、セイカイの手裏剣乱れ打ちが炸裂し、一方、サスケは
一人で酒天童子を相手に奮闘していた。
彼は勇猛果敢に向かっていくが、酒天童子の兄に首根っこをつかまれて締め上げられてしまった。
「はっ!」
それを見咎めたは、暗緑色の鉄扇を取り出すと酒天童子の一人目掛けて
投げつけた。
鉄扇は酒天童子の手首にぐさりと突き刺さり、彼は痛さのあまり、
驚いてサスケをつかんでいた手を離した。
「おのれ〜!」
ジライヤに特殊手甲でぶっとばされたサクラが、流されてきて切りかかってきた。
は紙一重でそれを避け、サクラの右肩あたりを忍刀を下から突き上げるようにして切り裂いた。
その後、酒天童子の兄弟もサスケの分け身の術と満月切りに敗退し、くノ一組も
勝ち目がないと判断したのか逃げてしまった。
数ヵ月後。
「ありがとうございました!」
今日も猫丸のクレープ屋は大繁盛だ。
季節は夏。達もすっかり夏服に衣替えして頑張っていた。
「またどうぞ〜!」
「どうも〜」
カウンターで肘をつく鶴姫は、白いノースリーブのワンピース、帰る客を愛想よく送り出すサスケは
ターコイズブルーのTシャツにデニムの短パン、同じくは白いタンクトップの上にレースのカーディガンを羽織り、
インディゴブルーのデニムスカートをまとっていた。
「なあ、この忙しい時にサイゾウの奴どこいったんだ?」
午前中のお客が帰り、一息ついたサスケはカウンターに寄りかかりながら尋ねた。
「さあ・・」
鶴姫はサスケを見下ろして首を傾げた。
「もうすぐ8月でしょ?おおかた新しい彼女をつかまえに〜ってとこじゃない?」
はつんと澄ましかえって言った。
「はあ?あいつ、お前にしょっちゅうちょっかい出してるのにか?」
「私、あの人の彼女じゃないわ・・」
サスケがまたからかうように言ったので、はむっとして否定した。
そんな時、色とりどりのパンジーの咲き乱れる花壇をバックに、ゆっくりと白塗りの車が走ってきた。
すぐに運転席側の窓が開けられ、黒いサングラスにスマートなスーツの男が片手を上げて呼びかけた。
たちまち、サスケ、セイカイ、鶴姫、、ジライヤ達が驚いて寄ってきた。
皆、一通り、サイゾウの新調の服と車を誉めそやすと、「どうしたんだ、これ?」「まさか盗んだのか?」
「どろぼーイケナイネ〜」と口々に尋ねた。
彼はこれはまっとうなお金、つまり貯めに貯めた貯金で買ったのだと得意げに説明した。
「これからひとっ走りして楽しいドライブに行って来るのさ。じゃあな」
サイゾウは驚き呆れるメンバーを尻目に、アクセルを踏むと車を急発進させて行ってしまった。
鶴姫は「ちょっとサイゾウ!」と呼び止め、は「やっぱり、ナンパだ」と呟き、サスケは「おい、待てよ・・」
と見送る始末だった。